「ありがとうドクターイエロー」独占取材で貴重な“923形”の内部に潜入!引退を発表したドクターイエローの雄姿を公開の画像一覧

見ると一日ハッピーな気分になれる、幸せの黄色い新幹線、ドクターイエロー。新幹線の安全な運行を守るために、走り続けてきたドクターイエロー(T4編成)であったが、ついに引退が発表された。

一般公開されていないため、めったに見ることのできないドクターイエローの内部。『MonoMaster』が2024年4月に行った独占取材の様子をご紹介。

新幹線の安全な運行を守り続けたドクターイエローの軌跡

鮮やかな黄色い車体で知られる新幹線電気軌道総合試験車、通称ドクターイエローは、新幹線の安全・安定輸送と快適な乗り心地を維持するため、実際の営業路線を走行しながら、電気設備や軌道設備などの状態をチェックする、新幹線のお医者さんのような存在だ。ドクターイエローは東海旅客鉄道株式会社(JR東海)が所有する923形0番台のT4編成と、西日本旅客鉄道株式会社(JR西日本)が所有する923形3000番台のT5編成の2編成がある。

JR東海所有のT4編成は2001年から、JR西日本所属のT5編成は2005年に運用が開始され、交互に走行しながら、東海道・山陽新幹線(東京駅~博多駅間)の検測を行ってきた。 運行スケジュールが非公開なことに加え、およそ10日に一度しか運行しないため、めったに見ることができず、それゆえ偶然出会えた日はいいことがありそうな、幸せな気分になれる。鉄道ファンはもちろん、子どもから大人まで、皆に愛されてきた幸せを呼ぶ黄色い新幹線、それがドクターイエローなのだ。

そんな、国民に広く愛されてきたドクターイエローの引退がJR東海、JR西日本より発表された。かねてより鉄道ファンの間ではささやかれていた引退がついに現実のものとなり、T4編成は2025年1月をもって検測走行を終了し、引退へ。T5編成は2027年以降を目途に検測を終了する予定となった。一番の理由は車両の老朽化によるもので、同系車両が引退する中、20年以上も走り続けてきたのだから「お疲れ様でした!」の感謝の言葉しかない。最高速度270km/hを誇るドクターイエローであったが、現役最新車両N700Sは東海道で最高速度285km/h、山陽においては最高速度300km/hで運用されているのだから、引退もやむなしといったところなのだ。

ショックなのは後継となるドクターイエローの製造が予定されていないこと。これまでドクターイエローが担ってきた設備検測などの役割は、営業車検測

機能を搭載したN700Sの一部編成に移行されると発表されたのだ。つまり、営業車による検査が可能となったことで、現在運行中の923形ドクターイエローが文字通り最後のドクターイエローとなりそうなのだ。

残念ではあるが、これも時代の流れ。これまでの感謝を込めて「ありがとう」の言葉を贈りたい。引退に伴って、JR東海では車両基地での撮影会や、体験乗車イベントなどの開催、記念グッズの販売などが予定されているという。

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923形ドクターイエローに潜入、貴重な内部を公開


ドクターイエローには他の新幹線にはない特別な装備が満載されている。まずは新幹線の安全な運行を守るドクターイエローの心臓部が、4号車の軌道検測室と1号車の電気検測室だ。軌道検測室ではレーザー光などによって測定された結果がモニタリングされ、レールのゆがみなどをチェック。電気検測室ではATC信号などの信号通信関連、トロリ線の状態などの電力関連が検測され、新幹線の安全な走行が保たれているのだ。

3号車と5号車には観測台と観測ドームがあり、観測窓から外の景色を見ることができる。これは主に、走行中のパンタグラフの様子を直接観測するためのもので、備え付けのカメラで撮影・録画することも可能だ。

他にも6号車には大きなドアを備えた資材搭載室とソファを備えたミーティングルームが、7号車には関係者用に50人分の座席を設置した添乗室が備わっている。