MotoGP第14戦エミリア・ロマーニャGPの決勝レースが行なわれた。優勝はドゥカティのエネア・バスティアニーニだった。
カザフスタンGPの開催中止に伴い、MotoGPはミサノ・サーキットで2戦目を開催することを決定。第13戦サンマリノGPから連続でレースが行なわれることになった。
ミサノ公式テストも行なわれたため各チームはデータ収集も十分な状態でエミリア・ロマーニャGP挑んでいるが、予選ではフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)が新レコードを記録してポールポジションを獲得。スプリントレースも制し、勢いに乗った状態で決勝レースに臨んだ。
全27周の長丁場のレースは、大きなトラブルなくスタート。好加速した2番グリッドのホルヘ・マルティン(プラマック)がターン1を先頭で通過したことで、スプリントレース同様の展開となるかと思われた。
しかしターン2に向けてバニャイヤがアウトから被せる形で抜き返し、トップを奪還。マルティン、バスティアニーニがその後ろに続いた。
トップ3名は非常に接近したバトルを展開。マルティンはバニャイヤのオーバーテイクを狙った動きが繰り返した。そして4周目、ターン8でマルティンがインに飛び込み、先頭に浮上した。
バニャイヤはマルティンに抜かれた後、リズムが悪くバスティアニーニにも追い抜かれてしまい、少しずつ離されてしまった。レース3分の1を消化した9周目には1.5秒以上の差が開いた。
一方でトップ争いではバスティアニーニのペースが良く、レースベストラップを更新しながらマルティンに接近。チャンスを伺った。
10周目、4番手を走りバニャイヤを追いかけていたペドロ・アコスタ(GASGAS)がターン15で転倒してしまった。これでマルク・マルケス(グレシーニ)が4番手に浮上したが、3番手のバニャイヤとは1.3秒差があった。
バスティアニーニは一時約0.1秒差にまでマルティンに接近したが、タイヤの内圧が上がったか一時的にペースダウン。ふたりの差は0.6秒程まで広がり、追い抜きを狙う雰囲気は薄まった。
しばらくトップ争いに目立った動きがないままレースは残り周回数を消化。ただ16周目、2.2秒差で3番手につけていたバニャイヤが一気にペースアップ。レースファステストを更新する速さを見せたことで、ここから追い上げが始まるかと思われた。
しかしバニャイヤの勢いは次のラップでは失われてしまい、ギャップは約2秒から変らないまま。先頭のマルティンもそれに反応したのかペースを上げたこともあり、結局バニャイヤが大きくトップ2に迫ることはなかった。
そして残り7周、ターン8でバニャイヤがまさかの転倒を喫してしまう。前日のスプリントレースでランキング首位のマルティンとのポイント差を4点に縮めたばかりだったが、転倒によってマルティンに大きなアドバンテージを得るチャンスをみすみす渡してしまった。
レース終盤はバスティアニーニが再びマルティンに接近。ホイール・トゥ・ホイールの距離でマルティンへとプレッシャーをかける場面が続いた。
バスティアニーニはラストラップのターン4で乾坤一擲の勝負を仕掛けた。インに飛び込んだバスティアニーニはクリップにつけず、マルティンと接触。そのままマルティンをアウト側のランオフエリアへと追いやる、少し強引な形でオーバーテイクして先頭に浮上。そのままトップチェッカーを受け、イギリスGP以来の今季2勝目を挙げた。
なおドゥカティは今回で最高峰クラス通算100勝目を達成。さらに2024年シーズンのコンストラクターズ王者も確定させた。
2位となったマルティンは、接触含みの追い抜きをされた後は腕を振り上げて怒りのジェスチャーを見せた。3位はライバルの転倒を追い風に、しっかりと結果につなげたマルケスだ。
決勝レースの結果、タイトル争いはマルティンが24ポイント差までリードを拡大。とはいえ今回バスティアニーニが勝利したことは、チームメイトのバニャイヤにとっては少しでもダメージを抑えるという点ではナイスアシストになったと言えそうだ。