スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦では、37号車Deloitte TOM'S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ)が今季2勝目を飾った。雨上がりの難しいコンディションの中、14番手スタートからの大逆転劇だった。
今週末は天候不良のため予選がキャンセルとなり、公式練習でのタイムがグリッド順を決めることになったが、37号車は「あまり満足に走れる状態ではなかった(笹原)」ことでまともにタイムを記録できず、後方に沈んだ。しかしながら、決勝に向けたアグレッシブなタイヤ選択やセットアップが見事にハマった。
37号車がスタートに向けて選択したタイヤは、発動が難しいものの長持ちする、いわゆるハード側のウエットタイヤ。そのため笹原曰く「最初の数周は気合いで耐えるしかないというか、とにかくコース上に生き残って、良い状況が出てくるのを待つしかありませんでした」とのことだが、発動してからのペースは目を見張るところがあり、セーフティカーにも助けられトップ争いに参加。37周目にはトップに立った。
その後ピットインしてアレジに交代する際には、タイヤもドライタイヤに交換。後ろからは38号車KeePer CERUMO GR Supraの大湯都史樹が猛プッシュしていたが、アレジはファステストラップを叩き出すなど力強い走りを見せ、追撃を許さずにトップチェッカーを受けた。
コンビ1年目の昨年はランキング15位(実質の14位)と大苦戦した笹原/アレジ組。今季は既に2勝を挙げて、首位の僚機36号車と1点差のランキング2番手に食い込んでいる。
6月の鈴鹿戦での初優勝と今回の2勝目は違った意味を持つかについて、笹原はこう答えた。
「苦労している時間がとにかく長かったし、37号車として良いムードになるために結果が必要だったので、1勝目を挙げた時は感情的になる部分がありました」
「この2勝目は、チームのみんなで緻密に考えて、どうやって追い上げるかを考えた結果だと思います。(1勝目とは)全く違う形で、自分たちの考えや力で取れたと思います」
「ただこれで浮かれることなく、地に足つけて3勝目を目指さないといけません。シリーズタイトルも、今回の優勝でさらに現実味が増しています。隣にいる36号車は本当に速いですが、そこは追い付いて追い越せるように取り組んでいるので、今後が楽しみです」
一方のアレジに関しても、チーム内からもその仕事ぶりを評価する声が挙がっている。前年王者でありポイントリーダーの36号車でチーフエンジニアを務める吉武聡エンジニアに、37号車の好調について話題を向けると、こう話した。
「今日もそうですが、ジュリアーノがだいぶ乗れている感じですよね」
「最後は後ろを離していましたよね。最近乗れてきたことは大きいですね。1回勝って自信がついたのもあると思いますが……鈴鹿で勝ったあたりから速いなという印象です」
そのアレジは、「コンディションは簡単ではなかったけど、マシンのバランスも本当に良く、タイヤも良く、自信を持ってプッシュできた。去年は厳しいシーズンだっただけに、状況を好転させられたのはチームにとっては大きな成果だ。これは本当に大きいし、本当に嬉しい」と勝利を喜んでいた。
タイトル候補になったことで、「これまでは失うものがないといった状況だったのに、今は失うものの方が多くなってしまい、ある意味余裕がない」と語るアレジだが、残りのレースに向けては「まずは毎レース毎レース、全てをまとめ上げることを目指す」と意気込んだ。