息子の夜泣きが続き、悩んでいた母。なかなか寝ない息子と一緒に泣きながら、孤独を感じていた母を救ったのは、午前3時に外から聞こえてくる音でした……。Instagramで公開されたマンガが、「分かりすぎて涙が出る」と共感を呼んだ、作者のたーたんさんにお話を聞きました。



夜泣きの悩みから救ってくれた音について描いたマンガのカット(たーたんさん提供)

【マンガ本編】息子の夜泣きが続き、孤独と戦う日々 母を救った”午前3時の音”とは?

息子の夜泣きが続き、つらく苦しい日々

 夜泣きの悩みから救ってくれた音について描いたマンガが、Instagramで4万3000以上のいいねを集めて話題となっています。

 毎晩息子の夜泣きが続き、孤独と戦いながら、つらく苦しい日々を過ごしていた母。息子と一緒に朝まで泣くこともあった母を救ったのは、午前3時に外から聞こえてくる、ある音でした……。読者からは、「共感して涙が出ました!」「大変なのは自分だけじゃないですよね」「孤独な気持ちが少し救われる瞬間だなあ」などの声があがっています。

 このマンガを描いたのは、Instagramでマンガを発表している、シングルマザーのたーたんさんです。たーたんさんに、作品についてのお話を聞きました。

ーー長男くんの夜泣きが続いた当時、どのような気持ちでしたか?

 長男に対する思いよりも、自分が母親として不甲斐ない気持ちが大きかったです。「眠たいのに寝られないのはつらいよね、うまく寝かせられなくてごめんね」と。

ーー長男くんの夜泣きがおさまるよう、やってみた対策にはどのようなものがありますか?

 おくるみを使ってみたり、寝る前には部屋を徐々に暗くしてみたりなど、なるべく息子がリラックスして眠りにつける環境作りに気を配りました。また、夜泣き地蔵にお参りに行くことも。

 でも、どんな工夫をしても寝てくれず、私の体力と気力が底をつき、結局いつもの添い乳で寝かしつけるしかありませんでした。「乳離れをしたらすんなり寝てくれるよ!」というアドバイスを周りからもらっても、泣き続ける息子を見ていられず、また添い乳に頼るという悪循環になっていましたね。心を鬼にして、乳離れを決行してからは、息子の寝付きが良くなりました。

ーー読者のなかにも、「子供の夜泣き」や「育児」に悩んでいる方が大勢いらっしゃいました。皆さんに向けて、アドバイスはありますか?

 どれだけ誰かが優しい言葉をかけてくれても、結局はその場にいてくれる「誰か」の助けが欲しいんです。代わりに抱っこしてくれる人やオムツを変えてくれる人、ミルクをあげてくれる人。お互いに信頼し合い、一緒に子供を育てられる人が必要なんです。主で子育てをしている人だけでなく、その周りにいる人にも、もっと子育てに対して当事者意識をもってほしい、母にだけ責任を押し付けないでほしいのです。

 アドバイスやエールも、つらく苦しいときには、私の耳に入りませんでした。何をいわれても、結局は自分がするしかなかったから。「いまだけだから」といわれても、その「いま」が苦しかったから……。

「本当に毎日しんどいよね」「心配ごとも多いよね」「ぐっすり寝たいよね」「座ってご飯を食べたいよね」「たまには出かけたいよね」「孤独だよね」……と、今回の作品が皆さんの大変な気持ちに少しでも寄り添えたらいいなあ、と思っています。

ーー作品について、どのような意見が寄せられていますか?

 共感の声が多くてびっくりしました。また、実際に新聞配達の仕事をされている方から、「そんなふうに思って下さっていたんですね。今後も頑張れます!」という声もいただきました。

ーーマンガを描き始めたのは、いつ頃からでしょうか?

 長男が生まれて、1年ほど経ったときです。何気なく描いた私の絵を友人がほめてくれて、SNSへ投稿したことがきっかけです。主に、息子たちとの何気ない日常のクスッと笑える話や、苦しいときに「自分にいい聞かせてきた思い」などを描いています。

ーー今回のマンガを描いたきっかけを教えて下さい。

 朝方、目を覚ましたときに、「あ、そういえば息子の夜泣きがひどかったとき、この音に救われていたなあ」「忘れたくない出来事だな」と思ったからです。

ーー創作活動で今後、取り組んでいきたいことを教えて下さい。

 私が絵を描く理由は、主に3つあります。

 ひとつ目は、かけがえのない日常の思い出を、私のやり方で息子たちに残していくことです。「いつもは怒ってばかりだけれど、こんなにも愛していたんだよ」と。いつか私の手を離れて、生きることが苦しくなったときも、前を向いて歩いていく力にしてもらえるように。ふたつ目は、自分の気持ちを整理するため、3つ目は、いろいろな立場で苦しんでいる人たちに少しでも寄り添うためです。この3つを大切に、これからも活動を続けていこうと思います。