〈倍速老化の恐怖〉痛みがまったくないのに体の中は地獄絵図…急に老け込む人に見られがちな6つの病態、その真犯人とは

疲労や衰えを急に強く感じるようになった。病気や不調、痛みが急に悪化したり種類が増えたりした…こうした人の体では、一般的な老化とは異なる急激な老化が起きているおそれがある。最新医学では、その原因は免疫の暴走とされている。世界的な評価を得た医学博士・飯沼一茂さんはそれを「倍速老化」と名づけたが、それを生み出す免疫暴走の恐ろしさとは? 飯沼さんの新著『倍速老化』より一部抜粋、再構成してお届けする。

倍速老化が起こっているサイン

免疫暴走には痛みもかゆみもありません。体の中で若返りを担うシステムが崩壊するような地獄絵図が展開されていても、それにより倍速老化が起こっていたとしても、私たちはつゆ知らず、というわけです。

ところが、背後からスッと忍び寄られるように、その実害はあるとき、さまざまな症状となって現れます。以下のような病態があったら、あなたの体内でもほぼ確実に免疫暴走、そして倍速老化が起こっていると考えてください。

【肌の衰え】
加齢とともに皮膚はある程度衰えますが、免疫暴走状態だとさらに加速します。それは炎症性サイトカインに、コラーゲンを分解する「コラゲナーゼ」という酵素づくりを促す作用があるからです。コラゲナーゼがたくさん分泌されると肌の弾力が失われ、シワやたるみが発生していきます。

また、免疫暴走状態だと肌でも炎症性サイトカインが出続けて、攻撃免疫が集結する事態に。すると、肌でも激しく免疫暴走が起きるという悪循環が起こります。これによって正常な肌の細胞にもダメージを与え、肌の衰えを加速させてしまうのです。

【肩、ひざ、腰、関節などの長引くコリや痛み】
免疫暴走が肩やひざ、腰、関節などの長引くコリや痛みとして現れることもあります。それは多くの場合、血流の滞りなどから起こり、周囲の細胞が酸素などの栄養不足に陥って炎症性サイトカインというサインが発令されているからです。つまり攻撃免疫が対応しているということになります。

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自分の免疫で自分の細胞を攻撃する状態にも

高齢になると、体を動かす機会が減ったり体の可動域が狭まったりして、動かしにくくなるという問題が生じますが、その最初の段階には「動かない」ではなく「動かしていない」ことがあるはずです。このときに制御免疫が働けず、攻撃免疫が暴走して攻撃を続ける免疫暴走状態が起きてしまうことに。

また、免疫暴走を抱えていると、リウマチを発症するケースもあります。リウマチは遺伝的要因や環境的要因に加え、免疫系の異常が複雑に絡み合って発症するものです。

たとえば遺伝的素因を持っている人が、喫煙や感染症などのきっかけで免疫のバランスを崩すと、自分の免疫で自分の細胞を攻撃する、つまりリウマチとなってしまうことがあるのです。単なる関節痛なのかリウマチなのか、自己判断は難しいため、病院で検査をして確認することをおすすめします。