ダニエル・リカルド、渾身最速ラップはやはり惜別? RBメキーズ代表認める「最後のレースかもしれないから……彼に楽しんで欲しかった」

 RBのダニエル・リカルドは、シンガポールGPがF1での最後のレースだと覚悟しているようだ。

 シンガポールGP前の報道では、リカルドの将来は今回のレースのパフォーマンス次第で決まると言われており、リカルド続投とならなかった場合には、次戦アメリカGPからリアム・ローソンがRBのマシンに乗ることになるだろうと言われていた。

 そのリカルドは予選でうまくいかず16番手でQ1敗退。決勝レースでは、他と違う戦略により順位を上げるため、ソフトタイヤでスタートするというギャンブルに出た。

 しかしその賭けは功を奏さず、18位でのフィニッシュ。リカルドはレース後に「おとぎ話のような結末にはならなかった」と嘆いた。ただ、レース終盤には3度目のタイヤ交換を行ない、ファステストラップを記録。これは、惜別のファステストラップだったとも言われているが、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとタイトルを争うマクラーレンのランド・ノリスから1ポイントを奪うこととなったため、物議を醸している。

 リカルドはレース後、感傷的になってインタビューに答えた。その際には、2022年限りでオスカー・ピアストリに押し出される形でマクラーレンを離れた時よりも良い立場でF1を離れることができると、この1戦限りでF1を離れることを示唆した。

「もちろん(シンガポールGPの週末を)楽しもうとしていた。マクラーレンでの2022年の終わりと、少し似ている」

 そうリカルドは振り返った。

「もちろん、これが最後のレースになるかもしれないということは分かっていたので、楽しもうとしたんだ」

「あの時(2022年)よりも、今はずっと幸せな立場にいると思う。だから、もしこれが最後のレースになるなら、少し平穏な気持ちになれるし、キャリアを誇りに思う」

 この発言は、次戦アメリカGPに出場するかどうかという質問に対し、リカルドが「現実的にそれが実現しない可能性がある」と認めたことを受けてのものだった。

 そんなリカルドは、レッドブル陣営で走る限り、1戦ごとに状況は変わると明かした。

「レッドブルで走るということは、ある意味僕ら全員にとって、もちろんチェコ(セルジオ・ペレス)にとっても、レースごとに状況が変わるということになるんだ」

「そして時には、どこかに進んでいるように感じたり、反対に向かって進んでいるように感じたりするものだ」

「もちろん、今週末は重要だった。もっと良い週末を過ごしたかった。そのことが何かを変えたかどうか、あるいは週末を迎える前に既に何か決定が下されていたのかどうかは誰にも分からない」

「もちろん、準備はできている。だからこそ、今週末は自分自身としても、いくつかのことを認識しようとしてきたんだ。そして自分がこのスポーツに戻ってきた理由も認識できたと思う」

「時には全体像を見なければいけない。僕はいつも、『ただグリッドにいるだけで、たまにポイントを争う……そういう存在にはなりたくない』と言ってきた。でも、今年はそういう感じだったんだ」

 なおRBのチーム代表のローレン・メキーズも、今回のレースがリカルドにとって最後のレースとなる可能性を、チームのプレスリリースの発言で認めた。リカルドにファステストラップを狙わせたのも、そういった理由があったからだと明かす。

「ダニエルにとってはこれが最後のレースになるかもしれなかった。だから彼には、それを味わい、最速ラップを記録してレースを終えるチャンスを与えたかった」