マクラーレン、リカルドの“奇妙な”ファステスト援護受けレッドブルとRBの関係見直しを要求「チームは完全に独立していなくては」

 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、F1シンガポールGPでチームのランド・ノリスから1ポイントを奪う形でRBのダニエル・リカルドが“奇妙な”ファステストラップを記録してレッドブルのマックス・フェルスタッペンを援護したことを受け、レッドブル系2チームの関係に対処するよう求めた。

 62周のシンガポールGP決勝ではマクラーレンが圧倒的な強さを見せ、ノリスは48周目にファステストを記録。優勝の25ポイントに1ポイントを加えて、フェルスタッペンとのドライバーズタイトル争いの差を51ポイントに縮めようとしていた。

 しかしレース最終盤、後方を走っていたリカルドが2回目のピットストップでソフトタイヤに交換。ノリスのタイムを0.439秒上回る1分34秒486を記録した。

 リカルドはファステストラップの追加ポイントが付与されるトップ10圏内ではなく18位でのフィニッシュ。シンガポールGPがF1ラストレースとも言われる中で、ポイントにこそ結びつかなかったものの、ひとつ名を刻んだ。

 一方、ノリスはリカルドの力走によって1ポイントをさらに追加するチャンスを逃した。これによりシーズン残り6戦で、52ポイント差のフェルスタッペンを追いかけるという状況に立たされた。

 マクラーレンとしては面白くない展開。ステラ代表はシンガポールGPでのレッドブルと姉妹チームRBの癒着をハッキリと非難しなかったものの、レッドブル系2チームの距離の近さについてより長期的な話し合いが必要かもしれないと語った。

「これは大きな問題だ。スポーツマンシップとしての問題がすぐさま浮上するのと同時に、責任感を持って対処する必要がある。私はそれを求めている」

 ステラ代表はそう語る。

「真実は知らない。RBがファステストラップを狙い、それを達成した。でも私としては、ここでスポーツマンシップとかそういう話をするのは……場違いだと思う。額面通りに受け取る必要があると思う」

「彼らはファステストラップを記録した。ただより長期的な話し合いの一環として、サーキットサイドであれ、ファクトリーサイドであれ、どのような段階でも、コンストラクターズチャンピオンシップである以上、チームが完全に独立した振る舞いをするような状況にスポーツを持っていく必要がある」

「これには間違いなく対処する必要がある。しかしレッドブルをサポートするためにRBがファステストラップを狙ったという要素は今のところない。ただ、なんというか……奇妙だ。そうなるとは思わなかった」

「シンガポールでのRBチームの最優先事項が、レースでのファステストを獲得することだったとは少し驚いた。(チャンピオンシップが)1点差で決着しないように、我々ももっと頑張らなくては行けないと思う」

「同時に、ダニエルと私は多くの共感、サポート、友情がある。このファステストラップが彼のコース上での記録に加わると思うと嬉しいよ」

 一方ノリスは、リカルドのファステストラップ獲得について、レッドブル系2チームの「賢い戦略」であり「論理的なこと」だったと認めた。

 またレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表はこの状況について言及せず、その理由を説明するのはRB次第だと語った。ただ、フェルスタッペンのチームメイトであるセルジオ・ペレスにファステストラップを狙わせるため、ピットへ呼び込むことは検討していたと明かした。

「そこで何が起こったのかは分からない。チームが話し合っていたと思うから……最終的には、とにかく決まった通りにステイアウトすることに決めたんだと思う」とホーナー代表は言う。

「チームはそのこと(ファステストラップ狙い)を考えていたと思うけど、最終的にはそうならなかった」