リカルドは笑顔でF1を去る? ラストレースの可能性認めるもマクラーレン解雇の「2022年よりもずっと幸せな状態」

 RBのダニエル・リカルドはF1シンガポールGPを終え、今後F1で再び走る可能性がないことを認めた。しかし、2年前にF1引退の危機に立たされた際よりも平穏を感じているようだ。

 シンガポールGPではリカルドの将来に関する噂がパドックを駆け回り、このレースでのパフォーマンス次第ではRBのシートを降ろされ、リザーブドライバーであるリアム・ローソンが後任を務める可能性が高いという報道が話題を呼んだ。

 そのリカルドは予選でQ1敗退。決勝ではソフトスタートというギャンブル戦略も運は味方せず18位でのフィニッシュとなり、「おとぎ話のような結末は訪れなかった」と嘆いた。

 慰めの報酬としてリカルドはドライバー・オブ・ザ・デイに加えて、ファステストラップを記録。ただ、レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンとドライバーズタイトル争いを繰り広げるマクラーレンのランド・ノリスから1ポイントを奪う格好となり、こちらも物議を醸した。

 35歳のリカルドは2011年のF1デビュー以来、257戦に出走し、レッドブル・レーシングとマクラーレンで8回のグランプリ勝利を経験。32回の表彰台獲得と17回のファステストラップを記録した。そのレコードもシンガポールで打ち止めとなる可能性が高い。

 しかしリカルドはレース後、ルーキーのオスカー・ピアストリにシートを奪われる形でマクラーレンを追われた2022年末よりも良い気分でシンガポールを後にすることができると語った。

 リカルドは2023年にレッドブル陣営へ戻り、その年のハンガリーGPで旧アルファタウリ/RBでF1復帰を果たすまではサードドライバーを務めていた。

 リカルドが古巣へ戻ったのには、レッドブル・レーシングで再び上位を争うという目標があったから。しかしそれを達成することなく、F1グリッドを去ることになりそうだ。

 次戦アメリカGPに参戦するかどうか尋ねられたリカルドは「現実的に実現しない可能性がある」と認め、次のように振り返った。

「(シンガポールGPの週末を)僕が楽しもうとしていたのは明らかだ。2022年末のマクラーレンみたいにね」

「もちろん、あれがラストレースになるかもしれないと自覚していたから、それを楽しもうとしていたんだ」

「あの時よりも、今のほうがずっと幸せだと思う。もしこれが最後だとしても、少し平穏な気持ちでいられると思うし、このキャリアを誇りに思う」

 そしてリカルドは13年に及ぶ自身のF1キャリアが終わりを告げることを「覚悟している」と語り、こう続けた。

「レッドブルでのレースはある意味、僕ら全員にとって、そしてもちろんチェコ(セルジオ・ペレス/レッドブル・レーシング)にとっても、レースごと変化するという状況だったと思う」

「ある時は一方向へ進んでいるように感じ、またある時は別の方向に進む」

「この週末に多くの重点が置かれていたのは明らかだし、もっと良い週末を過ごしたかった。結果的に何が変わったのか、それとも週末の前に既に決定していたのかは誰にも分からない」

「僕が覚悟しているのは明らかだ。だからこの週末は、自分自身も含めて、いくつかのことを認めようとしていた。なぜ僕がこのスポーツに戻ってきたのか、その理由も認識することができたと思う」

「時には視野を広く持つ必要があるし、僕は常に『ただグリッドにいて、時々ポイントを争うだけの男にはなりたくない』と言ってきた。今年はそういう展開だったね」