シンガポールGPを前に公の場で“Fワード”を使用したレッドブルのマックス・フェルスタッペンに対して、1日の社会奉仕活動に就くよう言い渡したFIAの裁定は、その他のF1ドライバーたちからも不評を買っている。
フェルスタッペン自身も裁定に不満を抱いており、その後の公式会見では“塩対応”で抗議。レギュレーションを満たすために短い回答のみで質疑を終え、公式会見場の外でメディア対応の時間を設けた。
決勝レース後も、同様の対応を行なったフェルスタッペン。公式会見後に設けられたメディアセッションでは、シンガポールGPの週末に起きた出来事が自身をF1引退に進ませる可能性があるとまで言及した。
そしてFIAのアプローチに関して不満を感じているのはフェルスタッペンだけではないようだ。F1ドライバーで構成されるグランプリ・ドライバーズ・アソシエーション(GPDA)のWhatsAppグループでは他のドライバーから支持を受けていると彼は説明した。
他からの支持を受けたかと訊かれたフェルスタッペンは、次のように答えた。
「ああ、もちろん。GPDA(のチャット)に裁定について書き込んだんだけど、基本的にはみんな『なんだそりゃ』みたいな感じで笑っていた。だから、本当に馬鹿げているよ」
そして現在、GPDAは全メンバーの考えを集約し、対応策を練りたいと考えていることが明らかになった。
GPDAのチェアマンを務めるアレックス・ブルツは、motorsport.comの姉妹サイトであるFormel1.deのYouTubeチャンネルで、全員が過激なコメントを放つスタイルではないものの、それに対するペナルティは行き過ぎた裁定だと語った。
「(元ハースF1代表の)ギュンター・シュタイナーなら、Fワードを使ったことでどれだけ社会奉仕活動をすることになるのだろうか?」とブルツは言う。
「彼はFワードを使ったことで印象付けた。Netflixはこれを世界中に放送し、問題なかった。しかし、突然このように変わるとはね」
「私はこう言う必要がある。(激しい口調は)ドライバーとしての私の個人的な好みではない。GPDAチェアマンとして公式に言う必要があるのは、もちろんグループ内で議論し、まずコンセンサスを完璧に得てから、FIAと会長にどのような形で話をするか検討するということだ」
またブルツは、GPDAがメディアを利用して議論を推し進めるのは流儀に反するとして、全ての関係者が満足できるよう、問題が非公開で解決されることを望むと語った。
「我々が内部で解決するという方法を個人的に私は信じているし、GPDAでもそうしている」とブルツは言う。
「我々はメディアを通さない」
「我々はスポーツのために内部で物事を解決しようとするだけであり、我々と旅を共にする人々や個々の重要な利害関係者の意見をまとめるため、GPDAからメディアに何かを伝えることはほとんどない」
「ドライバーはある程度、自分自身をありのままに表現することを許される必要があると思う。もちろん、個人を不快にさせるモノであってはならないし、差別的なモノであってはならない。その点では、みんな長い道のりを歩んできた。だから私個人としては、ペナルティは厳しすぎる」
フェルスタッペンの騒動は、FIAのモハメド・ベン・スレイエム会長がmotorsport.comに対して、チーム無線でのドライバーの悪態を減らしてほしいと発言したことをキッカケに起こった。
「我々のスポーツ、モータースポーツと”ラップミュージック”は区別しなければならない」
そうスレイエム会長は語った。
「我々はラッパーじゃないんだ。彼らは1分間に何回Fワードを口にする? 我々はそんなことはしない。彼らは彼らで、我々は我々だ」