GASGAS・テック3のペドロ・アコスタは、MotoGPエミリア・ロマーニャGP決勝で4番手を走行。しかし10周目の転倒で表彰台獲得の望みは絶たれた。
各レースで印象的なパフォーマンスを見せているアコスタ。エミリア・ロマーニャGPでも、上位をドゥカティ勢が占める中で良好なレースペースを見せた。マルク・マルケス(グレシーニ)より速いペースで3番手のフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)に迫っていたのだ。しかし10周目、アコスタはターン15で転倒してしまった。
「それを受け入れて前に進む。それ以外ないよ」
アコスタは自身のレースについて振り返る前に、そう語った。
「昨日と比べてマシンに加えた変更が功を奏した。ペッコ(バニャイヤ)のペースについて行くことができたが、ブラッド(ビンダー)と争った1周目にかなりロスしてしまった。僕が4番手になったときには、すでに0.5~1秒の差がついていたからね」
「僕らが持っているパッケージはもう限界に達している。トップ4かトップ5には常に入れることはわかっているから、クラッシュは余計に残念だ」
アコスタはクラッシュの原因について、レース前のトラブルによりタイヤの温度が低かったことを挙げた。
「グリッドでジェネレーターが壊れて(タイヤウォーマーが使えず)、タイヤがかなり冷えてしまったんだ。そして、雪だるま式にこの結果につながった。フロントタイヤの温度が低いまま走るのは普通じゃない。そのせいで転倒したとは断言したくないけど、そんなふうに10周を走っても、いつも走っている時のような温度には達しなかった」
表彰台圏内まで0.4秒のところを走っていたアコスタだが、10周目のクラッシュは予想外のことだったという。
「ターン15に進入した時、毎回そうしているようにバンプにヒットした。でもその時はフロントが切れ込んでしまった。何が起こったのかを説明するのは難しいし、クラッシュしたことに腹が立っている。今日はいい日だったのに、こんなことが起こるなんてね」
アコスタは前を走るバニャイヤとのギャップをコントロールできていたことから、表彰台獲得のチャンスは十分にあると考えていたという。
「かなり良かった。僕たちは0.7~8秒遅れのところにいて、前にいるペッコ(バニャイヤ)とのギャップをコントロールできていたんだ。彼はホルヘ・マルティンやエネア・バスティアニーニに抜かれて変な感じだった。何かは分からないけど、彼が何かをマネジメントしているんだと思っていた」
「でも彼はとても速かった。僕は彼のうしろでペースをコントロールしていたけど、表彰台の可能性は十分にあったと思う」
実際レース後、バニャイヤはタイヤに問題があったと説明。アコスタが転倒した後に彼もクラッシュを喫している。彼も15周を走ってようやくリヤタイヤが温まったというのだから、アコスタもタイヤの温めに苦労したことがうかがえる。
アコスタとバニャイヤが転倒したことで、レースの優勝争いはマルティンとバスティアニーニの一騎討ち状態に。激しく争った両者のバトルは、ファイナルラップの物議を醸すオーバーテイクで決着した。バスティアニーニがターン4でマルティンのインにダイブしたのだ。止まりきれずラインが膨らんだバスティアニーニによって、マルティンはランオフエリアまで追いやられてしまった。
この一件は審議対象とはならなかったが、マルティンは当然ながら、3位となったマルク・マルケスもペナルティが出されるべきだと主張した。
一方、このオーバーテイクでタイトル争いにおけるダメージが抑えられたバニャイヤはバスティアニーニの動きは問題なかったと主張した。
アコスタにもこのインシデントについての意見が求められたが、彼はペナルティが必要だとは思わないと話した。
「罰せられるようなことじゃないと思う。僕は当事者じゃない視点からそう考えている。バレンティーノ・ロッシとセテ・ジベルナウ、マルク・マルケスとホルヘ・ロレンソ(ともにヘレス)、2016年にはここでロッシとロレンソのクールなレースがあったように歴史に残る偉大なライダーたちはみな、ああいうオーバーテイクをしてきた」
「このサーキットではオーバーテイクはできないと2週間前から言っていたのに、最終ラップでオーバーテイクしてしまった。たとえ1位でフィニッシュしてペナルティで順位を譲ることになったとしても、(2位のままフィニッシュした方が)彼は傷ついただろう」
「それにマルティンがもう少し違う対応をすることが出来たとも思う。エネアが彼を抜いた時、彼は大きく膨らんで手を振り上げ、とても遅く走った。だからエネアにタイムペナルティが出されても、結果は変わらなかっただろう」
「要約すると、僕はペナルティだとは思わない。でも僕がそれをされたわけではない。そうでなければ、違う考えを持つだろう」