メルセデスのトト・ウルフ代表は、F1シンガポールGPでのルイス・ハミルトンの戦略について「レースを読み間違えた」と認めた。
マリーナベイ市街地サーキットで開催されたシンガポールGPで、ハミルトンは予選で3番手を獲得し、今季のタイトルを争うマクラーレンのランド・ノリスとレッドブルのマックス・フェルスタッペンの後ろに並んだ。
しかし決勝スタート前にタイヤウォーマーが一斉に外されると、ハミルトンが履いていたのは上位ドライバーでは唯一のソフトタイヤ。多くのドライバーはミディアムタイヤを選択していた。
シンガポールGPは、上位陣の過度なタイヤマネジメントによってレース序盤はゆっくりとした展開となることが多いが、マクラーレンが優れたペースを持っていたことから、ノリスは第1スティントから攻めてリードを拡大した。
これがソフトスタートのハミルトンの戦略に不利に働き、スティントを伸ばすことができず。レース中にチームの戦略について不満をあらわにしていたハミルトンは、最終的に6位でフィニッシュとなった。
この戦略決定について、ウルフ代表は次のように説明した。
「我々はレースを読み間違えたと思う」
「基本的にモナコのような大名行列になるシンガポールでのレースを踏まえて、ソフトタイヤならスタートでチャンスがあると判断した」
「それが唯一のオーバーテイクのチャンスだった。あれは我々全員が共に下したが、間違った判断だった。いい感じで戦略に差をつけられたが、リヤはデグラデーション(性能劣化)していき、後方に引きずり降ろされた」
「その背景には論理があったが、我々が下すべき決断に反していたというのは明らかだ。しかしマシンが遅すぎたという事実は隠せない。相手が前でも後ろでも、何も変わらないことかもしれない」
なおハミルトン以外にスタートでソフトタイヤを履いたRBのダニエル・リカルドも戦略でライバルを上回る事はできず。最終的にピットストップを3回行ない、ファステストラップを獲得した。
結果的にリカルドはノリスの追加1ポイントを奪い、同陣営のフェルスタッペンのタイトル防衛を援護する形となった。RBとレッドブルの関係から陰謀説も浮上したが、ウルフ代表は2チームによる癒着とは考えていないようだ。
この件について質問されたウルフ代表は、次のように答えた。
「おそらく、考えうる戦略を全て実行する必要があると思う」
「ダーティーなプレーだとは全く思わないし、ポイントに関わる部分だ。レギュレーションの範囲内だし、どちらのドライバーにとっても不公平ではない。誰が追加点を取るかというだけの話だと思う。大したことじゃない」