ゴミ袋の絶妙な値段設定「1袋75円」の意味
ゴミ有料化はあくまで、最終目標を“ゴミの削減”とした1つの取り組み。八王子市ではゴミ有料化で得た資金を、専用のゴミ袋を作るための費用、不法投棄対策のためのカメラ設置、個別収集にかかる費用などに回して、ゴミの削減に取り組んでいるという。
ゴミ袋の値段は、40リットルの袋で1枚75円。この値段は、各家庭が月に500円負担することを目安に設定された。高すぎても低すぎてもダメで、普及啓発として最適なのがこの値段だったという。ただ、現在では家庭ゴミが削減されたことで、各家庭の負担は月に310円ほどにまで減ってきたそうだ。
では今回、東京23区がゴミ有料化を検討していることについて、八王子市はどう思っているのか。
「最終処分場は、ゴミの処理をするためにはこれまで必ず必要でしたが、 東京都内で場所を確保するのは非常に難しいと思います。やはり有料化して、さらに個別回収するなどして、ゴミの資源化を進めないとどうにもならないでしょうね。
ちなみに現在、八王子市が含まれる多摩地区では、ゴミの埋め立てがゼロなんです。これは、ゴミを燃やした際に出てくる灰を、セメントの原料に使う、エコセメント事業を行っているからです。なので、多摩地区には共同の最終処分場もありますが、1つ残っているその最終処分場も、埋立進捗率は44.7%でずっと止まっています。
どれだけゴミを削減しても最終処分場に埋め立てる限り、いつかは限界が来ますので、一番いいのは、ゴミを埋め立てないことです。そこまでやらなきゃ、完ぺきではないと思いますね」
大きな反発が予想される家庭ゴミの有料化だが、多摩地域のような成功例を見ると、確かに23区で導入を検討する必要はあるだろう。あとは値段設定、そして不法投棄対策などが、重要な課題となっていきそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部