新生セルモ、連続表彰台でタイトルも狙える位置に。石浦宏明「シーズンが進むごとにうまく機能している」|スーパーGT第6戦

 スポーツランドSUGOで行なわれたスーパーGT第6戦で、38号車KeePer CERUMO GR Supra(石浦宏明/大湯都史樹)は2位でフィニッシュ。2戦続けての表彰台獲得となり、ランキングも4番手に浮上した。

 SUGO戦は悪天候に見舞われたことで、土曜午後の予選がキャンセルに。決勝のグリッドは同日午前の公式練習のタイム順となったが、そういった状況となることを見越したプランを公式練習でしっかりと立てていたKeePer CERUMOがポールポジションを獲得することとなった。

 決勝レースは雨上がりのウエットコンディションでのスタートとなったが、KeePer CERUMOはコースがドライアップするまで確実にタイヤを持たせるために、スタート直前になって最も硬いコンパウンドのウエットタイヤを履くことを決断した。

 スタートスティントを担当した石浦によると、ハード側のタイヤとなるとタイヤのウォームアップ、発動性の悪さが懸念点となってくるため、そこをケアするセットアップを施したという。これが功を奏してスタート直後は快調にレースをリードすることに成功したが、次第にフロントタイヤのグリップに苦しむようになってしまい、ポジションを落とした。ただこの時間帯は、タイヤチョイスとコンディションの掛け算によって各車のペースが乱高下していたタイミング。石浦も「生き残っていればチャンスはある」と冷静だったようだ。

 その後、セーフティカーが導入されたりタイヤの状態も回復してきたりしたことから、先頭集団とは大きく離されることなく走行していた石浦。「僕らはチェンジオーバー(ウエットタイヤとドライタイヤのラップタイムが逆転)した時のドライタイヤと大湯選手のパッケージに自信を持っていたので、早めにドライに替えたいというやり取りをチームとしていました」と振り返った。

 そして石浦がちょうどピットインしようとしていた42周目、GT300車両の1台がクラッシュしたため、セーフティカー出動の可能性を見越して各車が一斉に雪崩れ込んだ。ライバルを出し抜いてスリックタイヤでいち早くプッシュできれば“アンダーカット”できる可能性もあったが、結果的にライバルと同じタイミングでのタイヤ交換&ドライバー交代となった。

 事実上の8番手でセーフティカー解除を迎えたKeePer CERUMO大湯だったが、スティント前半に勝負をかけるようなソフト側のタイヤ選択だったこともあり、オーバーテイクショーを見せて10周足らずで2番手浮上。トップを行く37号車Deloitte TOM'S GR Supraのジュリアーノ・アレジを追いかけたが、10秒ほどあったギャップを縮めるほどの余力は残されていなかった。

 KeePer CERUMOは優勝こそ逃したものの、前戦富士の3位に続く2位表彰台。開幕戦岡山で4位、第2戦富士で5位と安定して上位入賞を記録していることもあり、石浦と大湯はドライバーズランキングでもトップと9点差の4番手となった。

 CERUMOは今季、昨年限りで引退した“最速男”立川祐路の後任として、新世代のスピードスターである大湯が加入。エンジニアも他陣営で活躍していた若手の岡島慎太郎エンジニアに変わり、タイトルスポンサーもZENTからKeePerに変更されるなど、まさに心機一転のシーズンとなっている。

 今季は残り3戦となるが、タイトル争いの意気込みを聞くと石浦は次のように語った。

「ランキングワンツーはトムスの36号車と37号車ですが、それほど点差は離れていません。良い位置にいられるので、チャンスは十分あります」

「自分たちは今年から体制が変わり、シーズンが進むごとにうまく機能している感触もあります。自分たちのレースをしっかりしながら、さらに上を狙っていければ、チャンスはあると思います」

 また今季から監督の立場でスーパーGTのチームを指揮する立川監督もプレスリリースでのコメントの中で、「ここ数戦安定して良いレースができているので、その点は評価したいと思いますが、2位ではまだまだ喜んではいられません。一方で、チーム全体が2位では喜んでいられない雰囲気になっているので、次こそは優勝という思いで頑張りたいと思います」と、チームの変化について述べていた。

 トヨタ陣営はここまでトムスの2台が目立ったパフォーマンスを見せているが、KeePer CERUMOも“第3のスープラ”としてタイトル争いに残っていけるか注目だ。