いま、ケニアのポテト屋で「先払い」が標準ルールになりつつある理由 / カンバ通信:第377回

ジャンボ。よく「ポテトは世相を映す」と言うが(※言いません)、ケニアのポテト屋さんから世の状況が読み取れるってこともある。

今回行ってみたのは、ナイロビのアウトリングロード沿いにある『チェッカーズ・レストラン』。とても清潔感のある店で、スタッフは快く私を出迎えてくれた。

スタッフは言う。「今日は特別オファーの日だよ」と。なんなんだ特別オファーって?

「たとえば今日、チキン(半身)を注文すると、なんとポテトがタダで付く!」

それはオトク! しかしチキンの価格を聞いてみると、450kes(約501円)もする。そんなお金、私には無い。

「ポテトだけでもオトクになる。いつもはポテト1つ150kes(約167円)だけど、特別オファーの今日は100kes(約111円)で販売中だよ」

通常150kesのポテトなんて、わりと高級品だな。でも、オトクな日に入店できたことをラッキーに感じた私。「では、ポテト1つで」と言うと……

「では100kes、先にいただきます」

出た。最近よくある先払いシステム。前回は「後払い → レシートチェック」だったけど、今回は頑として先払いを要求してくる。

おそらく食い逃げ防止のためだろう……と思いつつ、いちおう「なぜ先払いなんだい?」と聞いてみたところ、以下のような答えが返ってきた。

「後払いだと、“お金を払ったフリをして返っていくお客” がよくいるんだ。そう、食い逃げってやつだね。それを防ぐための前払いさ」

以前までは後払いだったのかい?

「うん。でも、食べ終えてから「金がない」と言い「何か手伝える仕事ないか」と言うお客が増えてきたので、後払いシステムに変更したのさ」

出た。「金がないから労働で支払います作戦」。前回のポテト屋さんなんて、まさにそうだった。しかも実際、急きょ働いている人もいた。

「もしも先払いを要求して渋った場合は、『では、他の店に行ってください』と、そのまま帰ってもらうことにしている。働き手は足りているから」

やがてポテトがやってきた。

それはそれは美味しいポテトだった。

イモの鮮度、イモの味、揚げ具合、温度、すべてにおいてパーフェクトなポテトである。日本の皆さんにもオススメできるポテト屋だ。

しかし、ポテト屋を取材しているだけでも「金がないから労働で支払います作戦」が流行っていることがわかる今日この頃のケニア。

景気は良いとは言い難いし、治安も良好とは言い難い。みな、食うため、生きるために必死である。私もまた、必死である。クワヘリ!

執筆:チャオス(カンバ族)

超訳:GO羽鳥

Photo:RocketNews24.

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