かねてから「音が良い」と噂に聞いていたイヤホンがある。100円ショップセリアで売っているという「人の声が聞き取りやすいステレオイヤホン」だ。2020年頃に販売開始され、すでに4年を経過しているので、もう手に入らないと諦めていた。
そうしたところ、読者から入手ルート(販売店舗)をお教え頂き、なんとか購入することに成功した。
人の噂とは大抵があてにならないものだ。「音が良いといっても、多少は盛ってるんでしょ?」、そんな気持ちで聞いてみたら……。「コレが税込110円だと!?」ってなりました。
・噂の110円イヤホン
このイヤホン(品番:AT-ES11)を購入するために、セリアほかいろいろな100均を回ったけど、一向に見つかる気配がなく、私(佐藤)は完全に諦めていた。最近になって読者から横浜の商業施設「トレッサ横浜」にあるとお教え頂いたので、現地へと赴いた。
110円のイヤホンを買うために、ここまで来ることになるとは。いや、金額の問題ではない。音の問題だ。良い格安イヤホンを買い求めるためなら、どこまででも行く所存。
ここのセリアはほかとひと味違う! イヤホンの数がめっちゃ多い!! 有線だけでも30種くらいはあるだろうか。
そのなかに目当ての製品を発見した。名前の通りに、声を聞き取りやすいようにチューニングされていて、英会話学習。ラジオ聴取・動画視聴に向いているらしい。製品仕様が気になったが、記載されていない。
中身は本体とあらかじめ装着されているイヤーピースのみ。110円ゆえに替えのイヤーピースはない。
左右のコードはくっ付いたままだ。これを「さけるチーズ」みたいにピーっと割いて使います。
イヤホンはストレートタイプ。そして驚くほど軽い。
中を覗いてみると、出た! 安物イヤホン特有の、ベンツのエンブレムみたいなプラスチックパーツが入っている。これは悪い音の証と私は捉えているのだが、大丈夫なのか……。
装着するとこんな感じ。イヤーピースがチープなので落ち着きが悪い。コードを引っ張ったら、スルっと抜け落ちそうだ。
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・聞き比べ
今回聞き比べに使用する楽曲は、エリック・クラプトンの「Hey Hey」である。まず先攻は、いつものように「ハイユニット HSE-A1000」からだ。
MTV「アンプラグド」で収録された、アコースティックライブアルバムの1曲。このアルバムは、ライブにも関わらず1992年のグラミー賞を受賞した名盤だ。この曲よりも「Tears in Heaven」の方がはるかに有名で、誰もが1度は耳にしたことがあるはず。この曲はブルースのスタンダード曲として知られている。
ハイユニットで聞くと、アコースティックギターの音が心地よい。ささやくようなクラプトンの歌声、弦の弾ける音、場内の観客がそれらに耳を傾けている様子がうかがえる。そのシーンとした空気感さえ伝わってくるようだ。曲終わりの拍手喝采までダイナミックに聞こえてくる。
続いて、セリアのイヤホンでも聞こう。
正直にいうと、かなり侮っていた。110円って、格安イヤホンシリーズで1番安い部類に入るからね。何ひとつ期待しない、いやできない金額だったんだよ。
……それなのに! いい音してる~~~ッ!! 中音域の出がイイ!
ピンポイントでココ! って音を出して来やがる。にも関わらず、バランスも悪くない。高・低音に物足りなさがあるのは仕方ないとしても、それでも中音を中心としたある程度の帯域をカバーできてるので、音としてのバランスが崩れていない。
聞ける! 110円でも十分に聞ける! 前回の165円のイヤホンより10倍、いや100倍くらい良い音をしてるんだよ。
これはもしや! と思って、ランキング3位のDENON「AH-C260」(税込927円)と聞き比べてみたら……。
さすがに3位には負ける。
110円のイヤホンは音鳴りは悪くないけど、音場が狭いかな。音域が絞られている分、広がりに欠けるので、音が狭く感じる。あとは、他の上位イヤホンほど表現力が豊かではない。
だが、かなりいいぞ! イヤーピースが貧弱なので、付け替えたら普段使いでも行けそうな気がする。
ためしにハイユニットのイヤーピースと交換してみたら、そこそこ低音を補うことができた、低反発のイヤーピースを装着すれば、もっと豊かな低音を楽しめるかもしれない。
善戦したが、ランキングでいえば10位以内に入るかどうか。コスパを考慮すると、かなり優秀な製品と言えるだろう。よって、順位の変動なし。
1.アルペックス(Hi Unit)「ハイユニット HSE-A1000(PK)」 税込712円
2.JVCケンウッド「HA-FX6-T カナル型イヤホン」 税込821円
3.DENON「AH-C260」 税込927円
このランクは随時更新していきたいと思う。皆さんの音楽ライフの参考になれば幸いである。