立命館大学映像学部 世界を見据えたクリエイター育成を支えるAvidソリューション Vol.15 [On Avid]

試写、視聴環境も充実


山本氏:

スクリーニングルームは30人分の客席、客席後方の編集用スペースに5席を設置した試写室で、DCPデジタルシネマ 5.1chおよび7.1ch上映、4K Blu-RayのDolby Atmos(ホーム仕様)再生、またスクリーン上映を行いながら、Media Composer、Baselight for Avidプラグインなどで編集、カラーグレーディング作業を可能としたポスプロスタジオとなっています。

以前のキャンパスでもシアター教室はあったのですが、授業等で使うことも多く、学生が気軽にラッシュを見るということがなかなか出来できませんでした。今回の計画時に280席あるシアター教室が出来ることも分かっていたのですが、教室ではない試写室の必要性を考えていました。これでやっとラッシュが観られ、スクリーンに上映しながら編集やカラーグレーディングができる念願の部屋が完成しました。

この部屋は試写機能に特化していて、教室としての機能はあえて備えていません。
しかし、この部屋をぜひ教室として使いたいという先生も多いですね。(笑)

松陰氏:

自分たちのことながら、とても贅沢な部屋ですね。シアター教室があってさらにこのような機能を備えた部屋があるわけですから。

280名収容可能、Dolby認定のDolby Atmos対応シアター

ーこの環境について、学生さんからの反応はいかがでしょうか

松陰氏:

ソフトの機能を全て覚えるということよりも、今の状態からこんな風に変更すると、より作品の質が上がるとか、こういう風に変えることで伝わり方が全く変わる、ということを体験してもらうことが重要だと思っています。こういう風にするには、どこをどう変えていけばいいのか、という学びが学生たちを伸ばしていくのだと考えているからです。そういう意味で、「自分が望めばどこまででもできる」施設と機材がそろっているのはとても大きなことだと思います。

この春の授業で、5.1chの作品がすでに4本作られました。Dolby Atmosに対応したシアター教室で、「自分が作った5.1chの作品を見たい」という思いに応えられる環境があるというのはとても大切ですね。

山本氏:

映像についても、「しっかりした環境でなければカラーグレーディングはできないんだよ」ということを、実際にそのような環境で作業をすることで理解してもらえていると思います。このスクリーニングルームの運用が始まってからは、我も我もと、ここで作品の仕上げを希望する学生が多いです。

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Avidソリューションを導入した理由

山本氏:

私達の所属している映画芸術ゾーンでは、やはり映画というコンテンツが中心にあります。実際にアカデミー賞にノミネートされた作品のほとんどがMedia Composerで編集されています。私自身も普段使っていますが、特に長尺の場合、その安定性、信頼性などの面でMedia Composerにかなうものはありません。

また、操作の面では、Media Composerではタイムラインのクリップを選択する際にワンクッション置きますが、これはとても大切なメリットだと思っています。例えば1000カット編集されているタイムラインで意図せずクリップが選択、移動できてしまうとしたら、編集者としてこれほど怖いことはありません。ユーザーが設定して初めてクリップを選択できるというワンクッションは長尺の編集でとても大切です。ですので、学生にもまずはMedia Composerを基本として覚えてほしいと考えています。


 

Avid NEXISもメディアサーバーとして歴史があり、これまで培ってきたノウハウは、まさに信頼性につながっています。また、Avid NEXISはAvid製品でありながら、Premiere ProやDaVinciが端末であっても全く問題がないというのもいいですね。

松陰氏:

音については業務ではPro Tools一択という状態ですね。Pro Tools自体、自分の思い通りに非常に細かく音の調整ができますし、ここでも導入しているAvidのVideo SatelliteのシステムによってMedia Composerとの同期もとても楽です。また両ソフト間でのデータの行き来も年々楽になってきていますね。


ー今後、Avidに求める機能はありますか?

山本氏:

これまで大きく操作性が変更されていない、そしてバージョンが違っていてもいかなる時代のプロジェクトも開くことができるというのは、プロユースのアプリとして当たり前でありながらとても大切なことで、絶対的な魅力と言えると思います。そういうことができない他社ソフトもあるので、この部分は是非今後も続けてほしいと思っています。

もう1つは、Media Composerだけで簡易的な感じで良いので、DCPのフィニッシュができるようになって欲しいです。また、オンラインシステムとしては、もう少しエフェクト関係を進化させてもらえればと思います。

松陰氏:

Macで動かしていますが、MacのOSのバージョン、Pro Toolsのバージョン、サードパーティプラグインのバージョンについて、もう少し交通整理してもらえると良いなと思います。当校にはさらにVideo Satelliteもあり、Media Composerのバージョンも考慮しなければならないので、そのあたりをわかりやすくしてもらえると良いと思います。
また、細かい文字が見えにくくなってきているので、指定した場所の文字を一時的に大きく表示するような機能があると助かるなと思います。

ー最後に、立命館大学映像学部の今後の展開はどのようにお考えでしょうか

松陰氏:

おかげさまで、大阪いばらきキャンパスに新設されたこの施設は、関西のみならず東京の方々からも大変注目いただいています。

山本氏:

そのような状況もあるので、施設の稼働率をもっと上げていきたいと考えています。

松陰氏:

例えば、立命館の卒業生に監督やプロデューサーとして企画を持ち込んでもらい、学生をインターンとして参加させることで、この施設のみで作品を創ることも可能でしょう。そのようなことも今後検討していきたいと考えています。


インタビュー後、外に出ると空にはまるで映画のワンシーンのような大きく鮮やかな虹がかかっていた。
映像・音響制作の最高峰とも言えるこの環境で学んだ若者が、あの虹の橋を越えて活躍する日は、決して遠い未来の話ではないのだ。