プラマックの陣営離脱、タイトルコンテンダーであるホルへ・マルティンをはじめとするライダーの移籍……来季のMotoGPにおいて、ドゥカティ陣営は大きな体制変更が行なわれる。ゼネラルマネージャーであるジジ・ダッリーニャは、こういった変化を受けて陣営の弱体化は避けられないと考えている。
ここ数年、MotoGPで圧倒的な強さを見せてきたドゥカティ。今年もその例に漏れず、同陣営のチームが上位を独占するケースも多く、ミサノで行なわれたエミリア・ロマーニャGPでは今季のマニュファクチャラーズタイトルを早々に決めた。
しかしながら、その輝きにも来季以降はかげりが見えるのではないかと言われている。というのも、現在ドゥカティは4チーム8台にバイクを供給しているが、来季はサテライトチームのひとつであったプラマックが陣営を離れてヤマハのサテライトチームになるため、台数が6台に減少。最新型ファクトリーバイクの供給台数もその内3台に絞られることになる。
ドゥカティはこういった台数の減少に加えて、今季チャンピオン候補のホルへ・マルティンや、ファクトリーチーム所属のエネア・バスティアニーニ、さらには有望株のマルコ・ベッツェッキが他メーカーに移籍するなど、人材の流出という面でも厳しい状況にある。ダッリーニャはMotoGP公式サイトでの最新のインタビューの中で、これらの影響が出ることは必至であり、数少ないポジティブな点はマルク・マルケスがファクトリーチーム入りすることだと語った。
「我々はおそらく、バイクを改善するためにサテライトチームのデータを活用した最初のメーカーだろう」
「当然、将来に向けてはこれを活用する機会が減少してくる。そして他のメーカーも、そういった活用の仕方があるのを学んだのだ」
「来シーズンはライダーの数も減るので、全体的には今年よりも弱体化するだろう。その一方で、ファクトリーチームにはおそらくドゥカティ史上最高のライダーが揃うことになる」
「他のチームは我々からライダーだけでなく、多くの技術者を引き抜いていった。ヤマハ、アプリリア、そしてホンダもそうだ。ただ我々にとっては、これがベストを尽くすための刺激となっている」
MotoGPは2027年に大幅なレギュレーション変更を予定しており、現在の1000ccエンジンはより排気量の少ない850ccに置き換えられる。またエアロダイナミクスにも制限がかけられ、ライドハイトデバイスも禁止されることになる。
ダッリーニャ曰く、ドゥカティはMotoGPでの覇権を維持するため、2027年にどのような方向性を打ち出すのかのミーティングを行なっているという。
「2027年シーズンはすぐにやってるので、新しいバイクがどのようなものになるのかについて、議論を始めている」とダッリーニャは言う。
「パワーが減らされるだけでなく、ライドハイトデバイスも使えなくなる。そのため、我々はあらゆることを再検討しないといけない。バイクのバランスも変わってしまうだろうから、技術面においても重要な改良ポイントになってくる」