2024年春、惜しまれつつも終売となった明治のロングセラー「CHELSEA(チェルシー)」。背景には「アメ離れ」があると言われるが、それでも多くの人が悲しんだのは、どこかノスタルジックな懐かしいお菓子として記憶に刻み込まれているからだろう。
その歴史はなんと53年間! 少女小説家・花井愛子先生が90年代にキャンペーン小説『O-RI-ZU-RU』を手がけたことも知る人が減り……と感傷にひたっていたら、北海道でチェルシーが大復活しているという!
いったいどういうことか、現地で探してみた。
・完売に次ぐ完売
北海道限定のお土産品になったというチェルシー、販売チャネルはスーパーやコンビニではなく、いわゆる観光地になる。
発売は2024年9月3日で、少し前から先行販売キャンペーンなども行われていた。筆者が北海道を歩いたのは9月中旬。しかし、探せども探せども一向に見つからない!!
函館や小樽の観光エリア、商業施設の物産コーナー、道の駅など10店舗以上は回ったが、どこも「完売」「次回入荷未定」「入荷してもその日のうちに出ちゃうんですよ~」という回答の連続だった。
つまり、運良く入荷直後の店舗にあたらなければ出会えない。これは、かつての「じゃがポックル」を連想させる過熱っぷり。元祖チェルシーが聞いたら泣いて喜ぶよ。
その後も道内各地でスーベニアコーナーを見かけるたびに立ち寄り、探し続けること一週間。そろそろ本州に戻らねば……というリミットの前日、とある商業施設で発見したときは、思わず声が出た。
探したよ……ここにいたのか……!
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・「北海道 生食感チェルシー」(税込864円)
手のひらサイズの厚紙ケースに入っていたチェルシーと異なり、新生「北海道 生食感チェルシー」はお土産らしい大袋入り。味は1種類。
1粒ずつの個包装なので、職場などでみんなで食べるのにも便利だろう。1袋に標準21粒入りだ。
個包装を開けると、サイコロのようなキューブが見えた。甘いキャラメルの香りがふわっと広がる。
それだけではない。ふにふにと軟らかく、ハードキャンディーだった元祖チェルシーとはだいぶ違う。
これは……生キャラメルじゃないか!
舌にのせると芳醇な香りが鼻腔を抜ける。ほとんど抵抗なくスッと歯が入り、その後はチョコレートのようになめらかに溶ける。
キャラメルのこっくりした甘さと、濃厚なクリーム感が口中に広がる。それでいてキャラメルのような粘り気はなく、さらりと消えていく。
手で持ってもベタつかない、けれど口に入れると即座にとろけ、令和の技術力を感じさせる。歯につくからキャラメルは苦手……という人でもまったく問題ない。ひとつ食べると「もうひとつ」「もうひとつ」と欲しくなる中毒性があり、ものすごく美味い!
批判を覚悟で言わせていただければ……元祖チェルシーより……だんぜん美味しい……! すっかり「現代っ子」になっており、元祖チェルシーとは別モノ。
聞けば製造は明治のグループ会社、道南食品株式会社。ロングセラーのチェルシーブランドを何とか残せないか模索し、北海道産の原材料で新たに開発を重ねて誕生したのが「北海道 生食感チェルシー」だという。
もし2つが水におぼれ、どちらかしか助けられないとなったら間違いなく新生チェルシーを選んでしまう。長く親しんだ元祖には顔向けできないが、終売は生まれ変わるために「必要な痛み」だったということか……!
これは一過性のブームではなく、北海道土産として定着していくポテンシャルを感じさせる。「銘菓」と呼ばれる未来も近いのではないだろうか。