「話題の新型列車 ここがすごい」40年ぶりに一新!特急列車“やくも”新型273系が注目される理由を徹底分析の画像一覧

山陽新幹線の岡山駅延伸に合わせ、伯備線経由の特急列車として誕生した「やくも」号。昭和から令和まで、時代を超えて走り続けてきた381系に代わり、新型となる273系が登場した。

40 年ぶりにリニューアル! 新型「やくも」が注目されるワケ

昭和・平成・令和と3時代を駆け抜けた「やくも」381系。岡山〜出雲市間はカーブが多いので、カーブ区間では車体を傾けることで速度向上を可能とする「自然振り子式」を採用していた。一方で新しい273系は、JR西日本、鉄道総合技術研究所、川崎車両が新たに共同開発した「車上型の制御付自然振り子方式」を採用。これが「乗り物酔いしにくい車両になっている」と評判だ。

自然に映えるブロンズに輝く勇姿。宍道湖に沈む夕陽の鬱金(うこん)、たたら製鉄の黄金(こがね)、大山夏山開き祭のたいまつのような銅(あかがね)、そして赤瓦の町並みの赤銅(しゃくどう)という4つの銅色をベースに作られたオリジナルカラーには「やくもブロンズ」と名付けられた。

機能面では車体の衝突安全対策、機器の二重系化、防犯カメラの設置による車内セキュリティ向上など、安全性が重視されている新型「やくも」273系。基本コンセプト、ロゴタイプ、外観、車内デザインを監修したのは「WEST EXPRESS 銀河」なども手がけたデザイナー。

座席間隔は970mm から1040mmへと拡大。それは在来特急の中では最大級で、新幹線と同等となるサイズ感だ。さらに座り心地を改善した座席を採用し、ゆったり感がアップ。全席コンセント完備や車内Wi-Fiも完備し、もちろん各車両には空気清浄機も搭載している。

新幹線が運行しない支線をカバーする特急として、重要な使命を課せられて誕生した列車が「やくも」号。新型も、その使命は変わらない。

新型やくもの振り子の仕組み


JR西日本、鉄道総研、川崎車両の3社で共同開発した「車上型の制御付自然振り子方式」。


自然の遠心力に任せて車体が傾くのではなく、走行データとマップデータを照合し、正確な位置情報をもとに車体を傾斜。

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安全性と快適性、居心地が大幅に向上した273 系


カーブに差し掛かる前から装置が作動し車体を傾斜させることで、より自然な乗り心地を実現した273系。


特急「やくも」50周年を記念して、懐かしの国鉄色にリバイバル塗装した381系。


約40年ぶりにリニューアルした新型「やくも」273系は、環境負荷も軽減した。


新シンボルマークは、国鉄時代のヘッドマークに用いられたフォントを受け継ぐ。

プライベートを確保できるセミコンパートメント


新しく登場したセミコンパートメントは、適度なプライベートを確保できるように設計された空間。


個室のようだが仕切りがなく、緩やかであいまいな和的設備。料金設定は普通車指定席料金と同額、追加料金なしで利用可能。

我が家のようにくつろげ、ぬくもりある車内


余裕たっぷりの座席幅とフットレストを装備するグリーン車指定席。


普通車指定席には、在来線特急初となるチルト機構を採用。可動式枕、全席コンセントも設置。

編集・文/野上真一(SIESTA PLANET) 写真協力/西日本旅客鉄道株式会社、写真一部/広瀬雅信(アフロ)