レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、シンガポールGP限りでダニエル・リカルドをRBのマシンから降ろし、後任としてリアム・ローソンを起用することを決めた経緯を説明。リカルドには、好パフォーマンスを発揮していればレッドブルのマシンにさえ乗るチャンスがあったと語った。
RBは9月26日にプレスリリースを発表し、シンガポールGP限りでリカルドとの契約を終了させ、次戦アメリカGPからはローソンがステアリングを握ることを発表した。
この決断に至った経緯についてマルコ博士は、motorsport.comの姉妹サイトであるMotorsport Total (https://youtu.be/cyYW6o4Y8tI)の独占インタビューで説明した。
リカルドは2018年限りで一旦レッドブルを離れ、ルノーへと移籍した。当時のレッドブルは、翌年からホンダのパワーユニット(PU)を使うことになっていたが、リカルドはそのホンダのPUに懸念を抱いていたのだという。
「彼はホンダのエンジンについて、ある程度懸念を抱いていた。それは我々にも伝わっていたんだ」
マルコ博士はそう語った。
「どうやら彼はその時、ルノーの甘い話に耳を傾けたようだ。金銭面では、我々が提示した額とルノーが提示した額では、大きな違いはなかった。我々が提示する基本給は安いが、ボーナスは高いんだ」
ただ今回の契約解除は、その時の報復ではないという。
「いや、まったく違うね」
「リカルドは、RBで適切なパフォーマンスを発揮していれば、レッドブルに昇格するチャンスを得て復帰したんだ。しかし、もっと大きな文脈でも見なければいけない」
「我々には若いドライバーがたくさんいる。(アイザック)ハジャーやローソン、そして岩佐(歩夢)もいる。彼らをランクづけしていないのだ」
「我々は将来を見据えなければいけない。そしてまた、比較もしたいんだ。ローソンはユウキと比べてどの位置にいるのか? そして将来的に両チームの組み合わせはどうなるのかということをだ」
「まずはレースで彼(ローソン)の結果を見たいと思っている。そのために6レースある。最初のレースではPU交換のペナルティを受けることになると思うので、評価には関係ない」
しかしリカルドは、これが最後のレースであるはずだと”示唆”することしかできなかった。F1に別れを告げる上では、正しい形ではなかったように見え、そのことは批判の対象ともなっている。
しかしマルコ博士曰く、契約上の問題により、シンガポールGPでリカルドがF1を去ることを発表できなかったという。
「さまざまな要因と義務に関連しているのだ。スポンサーにも配慮する必要がある。でも彼は、自分自身を平穏に保ち、状況を受け入れることができたと言っている。今後の計画がどうなるかということは、これからのことだ」
「彼は日曜日の段階では、最後のレースになることを既に知っていた。最速ラップを記録して、見事な別れを告げるパフォーマンスを発揮したんだ」
「最後に最速ラップを記録したのは、良い別れであったと思う。そしてそのことは、彼がどれだけのポテンシャルを持っているのかを示した。ただそれは継続できなかったため、レッドブルに昇格するのを正当化できるレベルではなかった。とはいえ、申し分のないパフォーマンスだった」