どうして女性は少ない運動で高い効果が得られるのか?
以上の結果から、女性はより少ない運動時間で高い健康効果を得られることが分かりました。
この理由について研究者は、男女間の体格や生理学的な違いが関係していると見ています。
例えば、一般的に男性は女性に比べて体格や心臓が大きく、肺活量や筋肉量が多いので、女性と同じ健康効果を得るにはより多くの運動時間が必要である可能性が高いのです。
反対に、女性は少ない運動量でも男性と同じ健康効果が得られると考えられます。
また研究者はこれと別に、家事活動に伴う運動量の多さが女性の健康効果を高めている可能性があると推測しました。
今回の調査項目に家事に伴う身体活動は含まれていませんが、女性は平均して男性よりも家事に従事する時間が多いことは確かです。
この点も女性の健康効果を高めるのに寄与しているのかもしれません。
家事が関係している可能性も? / Credit: canva
「最近、運動不足になりがち」という女性は、無理のない範囲で少しずつ運動を始めるだけでも十分な健康効果が得られるでしょう。
しかし男性の皆さんについては、不公平にも感じますがそれなりに気合を入れて頑張らないとならないようです。
参考文献
Women Get the Same Exercise Benefits As Men, But With Less Effort
https://www.cedars-sinai.org/newsroom/women-get-the-same-exercise-benefits-as-men-but-with-less-effort/
元論文
Sex Differences in Association of Physical Activity With All-Cause and Cardiovascular Mortality
https://doi.org/10.1016/j.jacc.2023.12.019
ライター
大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。
編集者
海沼 賢: ナゾロジーのディレクションを担当。大学では電気電子工学、大学院では知識科学を専攻。科学進歩と共に分断されがちな分野間交流の場、一般の人々が科学知識とふれあう場の創出を目指しています。