ダニエル・リカルドの離脱が、所属チームであるRBにより正式に発表された。今後はリアム・ローソンが後任を務めるものの、それも今シーズンいっぱい。来季の角田裕毅のチームメイトはまだ発表されていない。
リカルドはこれにより、事実上F1引退ということになると考えられている。このリカルドについてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、2018年でレッドブルを一旦離れたことが転機になったと考えている。
リカルドはHRTでF1デビューした後、トロロッソに加わり、そこで速さを見せたことで、セバスチャン・ベッテルのチームメイトとしてレッドブルに昇格するチャンスを掴んだ。ベッテルがチームを離れた後はダニール・クビアトとコンビを組んだものの、クビアトがパフォーマンス不足で更迭されると、その後任としてマックス・フェルスタッペンがレッドブルにやってきた。
ただリカルドは、2018年限りでレッドブルを離れ、ルノーに移籍する決断をする。レッドブルは翌年からホンダのパワーユニットを使うことが決まっており、リカルドはこれに懸念を抱いていたようだ。
リカルドはルノー、マクラーレンと渡り歩いたが、成績は振るわず(マクラーレン時代に1勝は挙げたが……)。その後レッドブルのサードドライバーとなり、2023年シーズン途中に、アルファタウリからレース復帰を果たした。
motorpsort.comの姉妹サイトであるMotorsport-Total.comの独占インタビューに応じたマルコ博士は、リカルドはレッドブルを離れた頃、当初持ち合わせていた「闘争本能」を失ってしまったと語った。
「レッドブル・レーシングを離れるという決断が、彼のキャリアのターニングポイントだったと思う」
マルコ博士はそう語った。
「その後の彼は、ルノーでもマクラーレンでも、勝てるだけのマシンを手にできなかった。モンツァでは勝ったが、あれは特別な状況だったんだ」
「何が起きたのかは正確には分からない。知っていたら、助けてあげられただろう。しかしスピード……何よりも彼の遅いブレーキングだ。この数年間、彼はトライしてきたが、それが失われてしまっていた。闘争本能はもはや消えていたんだ」
マルコ博士は、フェルスタッペンとチームメイトになることで自分の立場に疑問符がついたこと、そしてホンダ製PUに対する懸念が、リカルドがルノー移籍を決めた要因になったと考えている。
「彼はホンダのエンジンに一定の懸念を抱いており、そんな時にルノーとシリル・アビテブール(当時のルノーF1のチーム代表)からの甘い言葉に耳を傾けたようだ」
「金額面では、ルノーが彼に提示したモノと我々が彼に提示したモノの間には大差はなかった」
「私は彼に言ったんだ。『シューイをやるのが、難しくなると思うよ』とね。当時は、ルノーが表彰台に上がるのをあまり見ていなかったと思う」
「彼は我々のチームにやってきて、2014年には3勝を挙げてベッテルを破った。その後、ダニール・クビアトがチームメイトになった。クビアトの方が速い時もあったが、ダニエルはシーズンを通じてコントロールできていた」
「その後マックスがやってきて、彼はどんどん強くなっていった。だから彼が我々ではなくルノーを選んだ理由のひとつは、間違いなくそれだったはずだ」