たびたびネット上で物議を醸す映画館の鑑賞マナー。このたび、イオンエンターテイメント株式会社が運営する映画館チェーン「イオンシネマ」で、ルール改正されたことが話題になっている。
マクドを食べながら映画を鑑賞できた?
イオンシネマは今年9月27日より、「他店で購入した飲食物のお持ち込みをご遠慮いただきます」との新しいルールを発表した。
そもそも映画館への飲食物の持ち込みは禁止なのでは? と思ってしまいそうだが、大手映画館チェーンの中でイオンシネマは珍しく、映画館が併設されているイオンモールの中で購入した商品に限り、持ち込みをOKにしていた。
たとえば、地下のスーパーマーケットで、ポテトチップスや炭酸飲料を購入し、同モールの映画館でそれを食べながら映画が鑑賞できたというわけだ。
さらにいうなら、モール内にスターバックスがあれば、フラペチーノを飲みながら、マクドナルドがある場合は、ハンバーガーとポテトを食べながら映画鑑賞をする人もいたようだ。
そのため、このサービスを理由にイオンシネマを選ぶ人も多かったようで、ネット上では〈持ち込みOKの映画館で食うマックの美味さあるよな〉〈イオンシネマ持ち込みokなの助かる。スタバ飲みながら見る映画最高〉〈隣のJK、映画館でマック食ってんの強すぎる〉〈持ち込みOKだし、映画好きはイオンシネマの側に住むとQOLバカ上がりする〉といった声があがっていた。
しかしいくら持ち込みOKとはいえど、“ニオいがキツい食べ物”は控えるべきだという暗黙のルールがあり、これをめぐって論争が巻き起こることもしばしばあった。
またそもそも、本当にイオンモール内で購入した商品なのかどうかを識別するのも難しく、一部映画館では無法地帯になっていたとの指摘も……。
〈いくら飲食持ち込みOKだからって映画館にマック持ち込んでるのバケモンだろ。臭ぇよ〉〈隣に座った若いカップルが銀だこ食べ始めて2度見した〉〈ケンタッキーもたいがいやけど、551の豚まん映画館に持ち込みしてるやつもいた〉
〈君の名は。の再上映の映画館にマクドとケンタッキー持ち込みして、ガチャガチャ音立てながら食べて、食べ終わったらトイレに行き、帰ってきたら寝ていびきをかくというゴミクソムーブをした隣の席のやつは前前前世からやり直せ〉といった目撃情報が確認できる。
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イオンシネマがルール改正をした理由
今回、イオンシネマに飲食物持ち込み禁止にした理由を問い合わせたところ、イオンエンターテイメント広報より以下のような回答があった。
「イオンシネマで購⼊された飲⾷物以外のにおいや⾳が劇場内では他のお客さまのご迷惑になる場合があり、一部のお客さまからご意見もあったため、以前から検討を重ねてまいりましたが、この度お持ち込みをご遠慮いただくこととなりました」
まさに、ネット上で言われていたさまざまな問題について、ついに公式が動いたというかたちだ。
映画館で静かにスタバを楽しんでいた人にとっては残念だが、ルールでは問題ないからといって、マナー違反者が続出すれば、ルールそのものを変えざるを得ない。
だがこの映画館の鑑賞マナーをめぐっては、さらに難しい問題が存在している。いくらルールで持ち込み禁止にしたからといって、持ち込みがなくなるわけでもないのだ。
TOHOシネマズや109シネマズでは以前より、館内で購入した飲食物以外の持ち込みを禁止にしていたが、バッグに忍ばせるなどして映画館に持ち込んでいた人がいるとの目撃談が今現在も相次いでいる。
しかしだからといって、映画館に入る客のバッグを確認し、いちいち持ち物検査をしていたらキリがないうえ、たとえ堂々とお菓子を持ち込んでいる人がいたとしても、「映画館で食べる気はない」と言われてしまえば、スタッフがどうすることもできない。
もちろん、本当に館内で食べる気はなく、お菓子や飲み物を持ち歩いている人もいるだろう。
もし飲食物を持ち込みしている人を目撃した際、イオンシネマは今後、どのような対応をとる予定なのかを聞くと、「個々のお客さまの事情もございますので、ご事情をお伺いのうえ、当館では持込ご遠慮の協⼒をお願いしている旨をお伝えいたします」とのことだった。