この夏に、これこそが京都最大の魅力だろ…と感動した点 / この規模の都市で、そういう側面を維持できる性質

・哲学の道

これは見に行かねばなるまい。ということで、四条大橋周辺でタクシーをキャッチ。

ゲーミングな京セラ美術館を通り過ぎて

到着。4キロちょっとで1700円。10分程度だった。ぶっちゃけその辺でチャリをレンタルして来ればいい距離だ。

カメラの力で明るく写っているが、ここはだいぶ暗い。いかにもホタルが居そう。具体的なスポットは歩いて探すことに。

街灯もあるが、1つ1つの間隔がけっこう広い。これほどの暗さは深夜の河口湖以来だ。

こうして見ると凄まじい山の中のようだが、実は両サイドの闇は普通に民家や洒落たカフェだったりする。時刻は20時半ごろで、そんなに深夜でもない。

この闇の中、まあまあ犬の散歩やジョギングをしている地元民などもいて、閑散という感じがしないのも独特だ。このまま道なりに進んでいくと……

あっ

ホタルゥゥウウウウウウウウ!!!!

この時は三脚の使用が禁止な案件で来ていたのが悔やまれる。渾身の手持ち長秒露光はやはりブレてしまった。

周囲にはそれなりに地元民と思しき蛍狩り京都民も何名か。ここが今年のホタルスポットなのだろう。

ヤングなカップルがやってきて、ホタルに興奮した彼女がスマホで照らそうとしたのだが、それは駄目だと彼氏が即座に止めたり、ホタルを捕まえようとするキッズを制止して駄目だと教える子連れパパなど、ホタルファーストな体制が自然と敷かれていた点も好印象だった。

ここが祇園四条から10分ではなく歌舞伎町から10分だったら、ホタルなどたちまち狩りつくされ路上販売されていた可能性を否定できない。こういうものを大切にする姿勢は、京都民の方が根付いている気がする。

帰りはタクシーを呼ばず蹴上駅まで歩いて電車でホテルのある烏丸まで戻ったのだが、駅までの道すがら気付いたことがある。別にホタルは哲学の道だけにいるわけではないようなのだ。

隣接する南禅寺などの敷地一帯にそれなりに飛んでおり、その辺の植物が茂った水辺で、多かれ少なかれ光っている。狭いエリアで大乱舞というものではないが、それなりに広いエリアに普通に定着しているとみられる。

さっきのゲーミング京セラ美術館からだと徒歩10分だ。この、繁華街エリアから繊細な自然までの距離の近さ。行政だけが何かして実現できるものではない。

地域性や、住民の理解と協力がないと難しい。官民の垣根を超えて、深い所での自然へのリスペクトと理解が必要に思うのだ。

もしかしたら市民が幼少期から鴨川と共に暮らしていることなどが影響するのかもしれない。京都の魅力は多いが、個人的に最大の魅力を感じたのは、このような都市の在り方だ。そう感じた2024年の夏。

参考リンク:京都府

執筆:江川資具

Photo:RocketNews24.