Blackmagic Design導入事例:シン・リム氏の「Limitless」ショーの場合

Blackmagic Designによると、アメリカズ・ゴット・タレントの2018年の優勝者であるマジシャンのシン・リム氏が、ラスベガスのショー「Limitless」の制作に、Blackmagic URSA Mini Pro 4.6K G2デジタルフィルムカメラおよびATEM Television Studio Pro 4Kライブプロダクションスイッチャーを使用しているという。

2019年にザ・ミラージュ・ホテル&カジノでのショーの依頼を受け、同氏が得意とする少人数を対象とした近距離のマジックを、大手ネットワークプロダクションのリソースなしで、巨大なアリーナでのショーに転換する方法を考え出す必要に迫られた。同氏はショーを撮影することにし、スタッフのトレーニングを行うことに決めた。撮影用のカメラとしてURSA Mini Pro 4.6K G2を採用し、ATEM Television Studio Pro 4Kを用いたライブ切り替えを行うことにしたという。

リム氏は、次のようにコメントしている。

リム氏:自分達だけで撮影を初めて行った際、一日かけて全ての機材の使い方を学びました。

しかし、Blackmagicの機器は非常にユーザーフレンドリーなので、スタッフはすぐに扱い方を身につけました。


Limitlessは2台のカメラを用いて、ライブで撮影されている。1台目のカメラは従来型の放送マスターショット用にシアターの後部に配置され、長焦点レンズを用いて、舞台上の出演者にクローズアップできるようになっている。2台目のカメラはハンドヘルドで舞台袖に配置されており、フィードをATEM Television Studio Pro 4Kにワイヤレスで送信している。カメラはいずれも舞台両側に設置されている巨大モニターにライブでスイッチングされており、観客がトリックを見逃さないようになっている。コントロールブースでは、HyperDeck Studio 4K Pro放送デッキが、デュアルSSDに収録を行っている。

スタッフは意図的に少人数となっているため、各ショーのセットアップと撤収をすばやく実行できる。多くの場合、各スタッフは複数のタスクをこなしているが、Blackmagic Designの機材のおかげで問題が生じることはないという。

バックステージでATEMハードウェアを用いてライブフィードの管理を行っているLimitlessのテクニカル・ディレクターであるケーシー・キャスリーン氏は、次のようにコメントしている。

キャスリーン氏:ATEMのソフトウェアとハードウェア両方を頻繁に使用しています。特に、ショーの新しい区分に移行するにあたってリセットするために必要です。

照明監督のマーク・ブロードリングが、私がいない時にブースでソフトウェア版のATEMを使用しています。また、公演の最中に私がショットの管理を行う間、グラフィックの準備をマークが手伝ってくれています。1台で2台のスイッチャーを手に入れたような感覚です。おかげで、作業が本当に楽になっています。

リム氏は、Blackmagic Designの機器の品質だけでなく、価格面においても満足しているという。

リム氏:元々雇っていたサードパーティの制作会社は、90年代の巨大なプロダクションカメラを持ち込んでいましたが、URSA Mini Proの解像度と品質には匹敵するものではありませんでした。日々の各ショーの映像がどのようなものかを把握していることで大きな安心感が得られ、撮影面のテクノロジーの心配をする必要なく、観客に集中できます。


ラスベガスのショーの合間に、リム氏とスタッフはツアーも行っており、Blackmagic Designの可搬性の高いソリューションは、毎回の移動で助けになっているという。

リム氏:アメリカ中西部でのツアーに、新しく導入したATEM Miniを使用する予定です。コンパクトでありながら、大型のスイッチャーに搭載されている機能の多くを使用できることに驚いています。私たちのツアーでは、小型である点が非常に大きな助けとなっています。

リム氏はBlackmagic Designのカメラをショー以外にも使用しているという。

リム氏:以前はDSLRでマジック/ミュージックビデオを撮影していましたが、URSA Mini Proのようなシネマカメラと比較すると質が全く異なります。プロダクションカメラとしてのみ使用し始めましたが、ハイエンドのルックを作り上げることができる多数の機能が搭載されていることにすぐに気づきました。

少人数でのマジックの撮影には、URSA Mini Proは大きすぎると当初は思っていましたが、特に問題ないことがわかりました。

以前は、多数の観客に対して、少人数を対象とした近距離のマジックを撮影することが最大の難点だった。確かな技術を手に入れた今、同氏はツアーに加え、ザ・ベネチアンでの新しいレジデンシー公演における将来を楽しみにしているという。

リム氏:何かを隠したり、マジックが編集上のトリックであるかのように絶対に見せたくありません。これが私のマジックにおける最も重要なことです。そういった理由から、観客に対して大画面ではっきりと何が起きているかを見せたいんです。