レッドブルのセルジオ・ペレスは、F1シンガポールGPでフランコ・コラピント(ウイリアムズ)の後ろを走り、そのミスのない走りを称えた。
シンガポールGPを12番グリッドからスタートしたコラピントは、スタートで順位を上げるとターン1へ果敢に進入。オープニングラップを9番手で終えた。
その後は13番グリッドからスタートしたペレスを28周に渡って抑えた。ペレスは無線でオーバーテイクできないことへの苛立ちを込め、コラピントを「彼はとてもいい、パスするのは難しい」と高く評価した。
ペレスは28周を終えたところでピットイン。ウイリアムズは1周遅れでコラピントをピットインさせたが、ペレスがアンダーカットを成功させてコラピントの前に出た。
最終的にペレスが10位。コラピントはそこから1.660秒遅れの11位とポイント獲得はならなかった。終盤はペレスが前のニコ・ヒュルケンベルグの後ろについていたこともあって、コラピントにチャンスはなかった。
ペレスはレース後、コラピントについて「彼は素晴らしいレースをした」と語った。
「彼は一歩も間違ったことをしなかった。彼について行くのはとても難しかったし、とにかく難しいレースだった」
「最終的にはアンダーカットを決めることができたけど、あれしかできなかった」
アルゼンチン出身のコラピントはペレスのコメントに感謝。幼少期からF1を見て、同じラテン・アメリカ出身のペレスを応援していた背景もあり、その喜びはひとしおだったようだ。
ただ、ミディアムタイヤを長く履いたことでアンダーカットを受けてしまい、ポイント獲得を逃したことについては悔やんだ。
「僕はプッシュしようとしていた。チェコ(ペレス)はすごくナイスガイで、彼のF1レースを見て育った。アルゼンチンで早起きして、メキシコ出身の彼を応援したんだ」
「小さい頃に彼を応援できたのはとてもうれしかった。そして今、彼とレースができるのはもっとうれしいよ」
「せっかく頑張ったのに、ポイントを獲得できなかったのは残念だ。でも、それが現実なんだ。レース内容も良かったが、いくつかのミスがあってポイント圏内には入れなかった」
「すべてを完璧にこなしていたら……今日の僕らは完璧ではなかった」
ウイリアムズにとって、育成ドライバーであるコラピントの走りは期待が持てるものだが、同時に来年彼にシートを用意できないのは悩みの種でもあるだろう。
すでにウイリアムズは来季、アレクサンダー・アルボンの続投と、カルロス・サインツJr.の加入が決まっているためだ。
実質的に残る来季シートはザウバーのみ。ウイリアムズとしては彼の”貸し出し”に意欲的な様子を見せているが、ザウバーが望むのは後にアウディのワークスとなるチームに継続性をもたらすことができるドライバーだろう。つまり即戦力かつ経験豊富なドライバー、または中長期的に有望な若手ドライバーのいずれかとなるはずだ。
印象的なパフォーマンスを見せながら、去就が不透明なコラピント。すでに実力を証明したとも言える彼にシートがないのが、F1の厳しさを示している。