「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」──とは、主食のパンに窮していることを知らされたフランスの王女が側近に言ったとされる言葉。つまり、庶民の生活がてんでわかってないという譬えで、立憲民主党の小沢一郎氏がこのフレーズを持ち出して「世間知らず」とバッサリ斬ったのが小泉進次郎氏だった。(以下は9月12日配信記事を再録)
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自民党総裁選への出馬を表明している小泉進次郎元環境相が、年金問題で大炎上した。きっかけとなったのは、9月11日配信の「日刊ゲンダイDIGITAL」だ。記事では、進次郎氏の過去の提言や講演、インタビューなどでの発言を紹介。問題となったのは年金に関する考え方で、「65歳以上が高齢者というのはナンセンス」「現役世代の定義を18~74歳に変更」といい、年金の受給開始年齢は「80歳でもいいのでは」と語ったという。
立憲民主党の小沢一郎衆院議員は9月11日更新のXで「日刊ゲンダイDIGITAL」の記事を添付し、「『パンが無いならケーキを食べればよい』と同じ発想。単に世間知らず」とバッサリ切り捨てた。
ネット民も黙っていない。《あなたは金持ちだからそれでもいいけどね》《60歳過ぎたら正社員なんてないだろ》《年金払うだけ払わせて、もらう前に死ねってか》《この人、国民を奴隷としか見てなのか》などと怒り心頭だ。
2019年の健康寿命は男性72.7歳、女性は75.4歳。世界各国と比較し、日本人の健康寿命は長いといわれるが、年金の受給開始年齢を80歳に繰り下げるのは現実的ではない。健康上に問題があって働けなくても、数年間は年金を受給できないケースも出てきそうだ。
それはそうと、働いていなくても厚生年金に加入していたのが進次郎氏の父、小泉純一郎元首相だ。
「純一郎氏は首相時代、国会で民主党代表の岡田哲也氏から“勤務実態がない会社員時代に厚生年金に加入しており、やがては給付も受ける”と追及されました。これを受けて純一郎氏は『人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ』と言い逃れをした過去があります。純一郎氏がこんな発言をしておきながら、国民年金受給開始年齢を遅らせて高齢者を働かせるのは筋が通っていません」(週刊誌記者)
年金もいろいろあっていいが、国民の不利益になることは避けてもらいたい。
(石田英明)