満を持して登場の「ATEM Micro Panel」!その魅力と可能性を探る[OnGoing Re:View]

学生に使わせてみた

ここからは余談になるのだが、自身は洗足学園音楽大学で配信のレッスンを担当する講師を務めているのだが、今回発売されたばかりのMicro Panelを学生に使わせてみることにした。


というのも、学内にはConstellation の1M/EモデルはあるもののオペレーションするためのPanelがなく、せっかくの機材が運用できずにいたためである。運用シーンはカメラはPTZ3台、業務用カメラ2台の5カメスイッチングの音楽ライブ配信。

接続についてはスムーズで、ATEM のファームウェアを9.6以上にアップデートさえすればすんなりと完了した。セットアップ中に興味深そうにしていたのはボタンのカラー切り替えで、ある男子学生は「ああ、こんなこともできるんですね!」と嬉しそうにいじり倒していたのが印象的だった。

例えば、今回のようなPTZと有人カメラの運用などの場合は、カメラ種類によってカラーを変えるなんていうこともでき、スイッチングをする上でちょっとしたミスを防ぐことができそうだ。


また、別の女子学生にもオペレーションしてもらったところ、「これまで使っていた(国内他社)スイッチャーに比べると、ちょっと押しづらいかも」といった声もあり、Micro Panelの少し硬めのスイッチ感覚は慣れが必要なのかもしれないとも気づかされた。

ただ、フェーダーによるコントロールはスローな切り替えでも映像がコマ送りのようなトランジションになることはなく、学生らは戸惑うことなく積極的に運用していたので、とっつきにくさ等はなかったようである。

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Constellation選択の一歩になる一台

以上のことから感じたのは、このMicro Panelの登場はConstellationを選択する足掛かりになるのは間違いない品であるということである。

コロナ禍という言葉すら聞かれなくなった昨今、リアルカンファレンスの需要拡大や、Zoomの並行利用、クライアントへのモニター出しなどのサービスなどにより、映像ルーティング機能は多いに越したことはなく、その場合の第一選択としてConstellationは大いに活躍してくれる。

音響周りの設定やAUX出力の切り替えなどはできないものの、ある程度設定の決め打ちをした現場であれば、これまで通りの運用を低コスト、省スペース、そして手軽に運用することができるのは確かな優位性である。

ATEM Miniではスペック不足、しかしTelevision Studio HD8を持ち出すにはヘビーすぎる。そんな外部会場多めの映像オペレーターには、是非とも一度利用してほしい機体である。

前田進|プロフィール

1980年生まれ。CATV局キャスター出身のライブ配信エンジニア。2021年に株式会社映像制作MOTIONを設立。現在は数多くの映像制作現場に関わるかたわら、洗足学園音楽大学 非常勤講師として映像・配信に関する後進の指導にあたっている。


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