自殺念慮と自傷行為は「悪魔との契約」につながる


Credit:Canva . ナゾロジー編集部

これまでの研究により、自殺念慮や自傷行為には常習性がうまれることが判明しています。

自殺を考えたり自傷をすることで、一時の心の安らぎを得られることを知ってしまうと、ネガティブな思いをするたびに、同じ方法で逃れるようになってしまうからです。

しかし過去に行われた研究では、自殺念慮や自傷行為を繰り返すことで恐怖や痛みに耐性がついてしまい、本当の自殺を行いやすくなっていることが示されています。

一時の安らぎのために命を落としやすくなる状況は、悪魔との契約と同じように、最終的にはより大きな災いとなります。

研究者たちは、自殺念慮や自傷行為が起こるときに脳で起こる生物学的反応を解明できれば、低リスクで即効性のある「安らぎを得られる薬」を開発できると考えています。

タバコの代替としてニコチンガムが開発されたように、未来の薬局ではリストカットの代替として「リスカガム」が売られているかもしれません。

※この記事は2022年5月公開のものを再掲載しています。

参考文献

Thinking About Suicide and Self-Harming Alleviates Stress
https://neurosciencenews.com/stress-suicide-self-harm-20502/

元論文

A meta-analysis on the affect regulation function of real-time self-injurious thoughts and behaviours
https://www.nature.com/articles/s41562-022-01340-8

ライター

川勝康弘: ナゾロジー副編集長。
大学で研究生活を送ること10年と少し。
小説家としての活動履歴あり。
専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。
日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。
夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。

編集者

大石航樹: 愛媛県生まれ。大学で福岡に移り、大学院ではフランス哲学を学びました。
他に、生物学や歴史学が好きで、本サイトでは主に、動植物や歴史・考古学系の記事を担当しています。
趣味は映画鑑賞で、月に30〜40本観ることも。