〈朝ドラ『おむすび』放送開始記念〉待ち時間は最大6時間!? リアル超人気おむすび専門店「ぼんご」に密着「日本にとっておにぎりは特別なもの」女性店主が語る行列が絶えないワケ

9月30日にスタートするNHK連続テレビ小説『おむすび』は“おむすび”こと、主人公の米田結が栄養士を目指し、人や縁といった“目には見えないもの”を結んでいくストーリーだ。「おむすびは、人の心と心を結ぶものです」。以前からドラマのあらすじと似たようなことを語っていたのが東京・大塚にある大人気おにぎり専門店「ぼんご」の店主・右近由美子さんだ。おむすびに縁のある朝ドラの放送開始を記念して、2023年2月に「ぼんご」に密着した様子を改めてお届けする。

テレビやSNSで話題沸騰! 創業60年を超える老舗のおにぎり専門店は開店前から行列

「ぼんご」は昭和35年の創業から64年続く老舗であり、超人気店だ。創業者だった先代の右近佑さんとの結婚を契機に、女将は長らくおにぎり作りに携わっている。

そんな「ぼんご」と女将に昨年、転機が訪れた。2022年9月に旧店舗を閉め、翌10月に新店舗へ移転したのだ。

移転後も連日、大盛況。日本一と絶賛されるおにぎりを求め、サラリーマンや家族連れ、観光客など、全国各地から訪れた人々が長蛇の列を作っている。

店の前には開店前から行列ができる。平日でも3時間待ちは当たり前。寒い日はスタッフが温かいお茶を配るほど。行列への感想を求めると、女将は照れくさそうに微笑んだ。

「本当にありがたい話ですよね。日本人にとっておにぎりは特別なものなのかなと思います。県外や海外の方も来てくださって。

今まで、5時間待ちが最長でしたが、昨年末、ついに6時間を超えてしまいました。寒いのに頭が下がります」(由美子さん、以下同)

長く営業していると客層も移り変わってゆく。女将も「変わり過ぎです」と笑う。

開店当初、昼は会社員、夕方は家族へおにぎりを買って帰る地元客、夜は飲み帰りの客が多かった。

一方で現在の客層は20代が占める。女性客が中心だが、中には男性アイドルファンも1日に5人程度やってくる。

乃木坂46のメンバーが2019年に「乃木坂どこへ」(日本テレビ系、2020年に放送終了)のロケで来店したことで、SNSに情報が拡散された。今では乃木坂ファンが「聖地巡礼」に訪れているという。

当時、店を訪れた乃木坂46のメンバーが食べた「ぼんご」のメニューは以下のとおりだ。

遠藤さくら→「明太マヨネーズ」
賀喜遥香→「卵黄」
筒井あやめ→「明太クリームチーズ」「卵黄」
清宮レイ→「卵黄+豚キムチトッピング」
早川聖来→「唐揚げ+豚キムチトッピング」
掛橋沙耶香→「さけ」「ベーコン」「うめ」

「乃木坂のイベントがある日だと、ファンの男の子がたくさんいらっしゃいます。みなさん、お目当ての女の子の食べた食材と同じものを食べるから誰のファンかわかります(笑)」

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不動の人気一位と根強い人気メニューとは?

おにぎりの価格は1つ300円から600円。50円、100円を追加して、別の具材をトッピングすることもできる。(※価格は取材当時のもの)

乃木坂46のメンバーには「卵黄」と「豚キムチ」が好評だったが、不動の1位はやはり「さけ」だ。次に「すじこ」「卵黄」と続く。

注文時は店内に貼られるランキング表を見て参考にしてもいいだろう。値段は税込。

「ぼんご」のおにぎりは、1日に1000個~1500個も売れる。具材はなんと57種類。その豊富さにもかかわらず、どの具材も売切れにならないように気を配る。

「お客さんに『今日これ食べたかったのにないの?』って言われるのがすごく気の毒で嫌なんです。

だから従業員のみんなには、57種類あっても絶対に欠品しないでくださいと伝えています。お客さんの声が一番ですから。

トッピングを始めた理由? 最初は『ネギを入れて』と常連さんに言われて『他のお客さんには内緒だよ』と隠れてやっていましたがバレてしまって。

お金儲けしたいわけじゃないけど、具材を2つ入れてほしいというお客さんがいたら、それを叶えてさしあげたいなと」

女将の粋なサービスが生んだトッピングシステムによって、「豚キムチ+納豆」や「まぐろ角煮+はとうがらし」など、味のバリエーションが各段に増えた。当然、それぞれの具材の仕込みにも全力を注ぐ。

一番人気の「さけ」はオーブンで焼いた鮭から小骨を抜き、丁寧に鮭フレークを作っていく。

「スタミナ焼肉」や「豚キムチ」「肉そぼろ」といった具材は大きなフライパンで炒めるので、力も必要だ。

人気具材の「卵黄」は、冷凍した卵から卵黄を取り出して3~4時間ほど冷蔵庫の中で醤油漬けにする。醤油漬けした卵黄がおにぎりに3個入る贅沢な一品だ。