スーパー耐久シリーズ第5戦「SUZUKA S耐」は、9月28〜29日に鈴鹿サーキットにおいて5時間レースとして開催され、全8クラス56台の車両が出走。決勝前の降雨のためにコースコンディションがウェットからドライに変わるレースとなり、31号車DENSO LEXUS RC F GT3(永井宏明/小高一斗/小山美姫/嵯峨宏紀)がポール・トゥ・フィニッシュで今季初優勝を決めた。また小山はST-Xクラスで初の優勝女性ドライバーとなり、1993年N1耐久シリーズの佐藤久実以来2人目の女性総合優勝を遂げた。
蒸し暑い28日午後に行われた公式予選はA、Bドライバーのベストタイム合算で争われ、31号車RC Fが今季初のポールポジションを獲得。これに2戦を休んでいた1号車中升 ROOKIE AMG GT3(鵜飼龍太/ジュリアーノ・アレジ/蒲生尚弥/片岡龍也)、33号車 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3(リー ジェフリー/太田格之進/チェン ディーン/リアン ジャトン)、23号車TKRI松永建設AMG GT3(DAISUKE/元嶋佑弥/中山友貴)、81号車DAISHIN GT-R GT3(今田信宏/藤波清斗/坂口夏月)が続いた。
29日は決勝レースの前に雨が降りコースはウェットコンディション。しかし各車両がコースインする頃には雨は上がった。決勝スタート時のタイヤはウェットかレインか悩ましかったが、多くのチームが早めに乾くと判断しスリックタイヤを選択した。
曇りで気温24℃というコンディションで5時間レースは11時50分にスタートした。ST-Xクラス(全5台)は33号車と23号車、2台のメルセデスがジェントルマンドライバーのスタートで、31号車RC Fの小高が後続を見る見る間に引き離していった。23号車メルセデスは6周でピットインし、スリックタイヤに交換しドライバーもDAISUKEから元嶋へ交代した。2番手の1号車メルセデスのアレジに順位を上げた81号車GT-Rの藤波が追いつき、21周目の1コーナーでパス。しかしすでに31号車RC Fとは25秒近いギャップがあった。
32周で31号車RC Fがピットインしジェントルマンドライバーの永井に交代すると、81号車GT-Rがトップに。35周で81号車GT-R、1号車メルセデスがピットインすると、トップは再び31号車RC Fで、2番手は23号車メルセデス。その直後に81号車GT-Rの坂口、1号車メルセデスの片岡が続いた。
スタートから1時間が経つ前の44周で23号車メルセデスがピットインすると、81号車GT-Rと1号車メルセデスの順位が繰り上がった。50周を過ぎるとトップの31号車RC Fに後続の2台が追いつき3台によるトップ争いとなり、55周目のスプーン1個目で1号車メルセデスが2番手に順位を上げ57周目の130Rでついにトップを奪った。81号車GT-Rも58周目のNIPPOコーナーで2番手へ順位を上げた。62周で31号車RC F、70周で1号車メルセデス、そして71周で81号車GT-Rが2回目のピットイン。ここからのトップ争いに注目が集まったが、81号車GT-Rはジェントルマンドライバーの今田が130Rでバックマーカーと接触しコースアウトからスポンジバリアにクラッシュ。コースに復帰はしたが順位を4番手に落とすことになった。
これでFCY(フルコースイエロー)となったが3分後に解除。74周目に1号車メルセデスのジェントルマンドライバー鵜飼を31号車RC Fの嵯峨がかわしトップを奪うと、2番手以下を引き離し始めた。96周でトップの31号車RC Fが最後のピットインをして小山に交代。104周目に1号車メルセデスがピットインして蒲生に交代したが、トップとの差は47秒ほどもあった。81号車GT-Rは103周でピットインして藤波に交代したが105周で緊急ピットイン。クラッチのトラブルで修復し再びコースインしたが、108周目の130Rでストップした。
レースは31号車RC Fの小山がトップを守って今季初優勝。小山はST-Xクラスで初めて優勝した女性ドライバーとなった。また女性ドライバーが総合優勝を飾ったのは、93年N1耐久シリーズ筑波ナイター12時間での佐藤久実(「ニチレイ・アセロラ・GT-R」佐藤/斉藤達雄/福山英朗)以来31年ぶり2人目。
ST-Z(全13台)クラスは、22号車EBI GROUP Cayman GT4 RS CS(北園将太/久保凛太郎/山野直也/岩澤優吾)が終盤の101周目にトップを奪い、2022年最終戦鈴鹿以来の優勝を飾った。
ST-TCRクラス(全3台)はチェッカーまで10分となった最終盤にチームメイトの97号車Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(遠藤光博/中野信治/辻本始温/桝本隆介)に追いついた98号車 Racer ホンダカーズ桶川 CIVIC(KIZUNA/リ ジョンウ/山本聖渚)の山本が逆転優勝を遂げた。
ST-1クラス(全1台)は2号車シンティアム アップル KTM(井田太陽/加藤寛規/高橋一穂/吉本大樹)が完走&で5連勝。総合でも9位でゴールした。
ST-2クラス(全8台)は225号車KTMS GR YARIS(一條憲吾/奥本隼士/小林利徠人)が今季4戦で3勝目を挙げ、タイトル争いに大きく前進した。
ST-3クラス(全4台)は今回ST-4クラスが休みとなったため急遽呼ばれた冨林勇佑が加わった39号車エアバスターWINMAX RC350 TWS(藤田真哉/伊藤鷹志/水野大/冨林)が2勝目。最激戦区のST-5クラス(全15台)は、ポールスタートの88号車村上モータースMAZDAロードスター(村上博幸/岡本大地/吉田綜一郎/有岡綾平)が3時間過ぎまでトップを走行していたが、マシントラブルでピット作業に時間を要し、17号車DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2(西澤嗣哲/大谷飛雄/小西岬/野上敏彦)がトップに立ったが、レース最終盤残りの2周で65号車odula TONE 制動屋 ROADSTER(太田達也/外園秋一郎/黒沼聖那/池田拓馬)が逆転して初優勝を飾った。
トヨタ、ホンダ、スバル、マツダ、4メーカーの開発車両によるST-Qクラス(全7台)は、6台が完走した。