ソニーの6年ぶり新型カメラ「PXW-Z200」。プロの視点で見る新世代ハンドヘルドカメラ Vol.02 [Camcoder Odyssey-カムコーダの現在値2024-]

2024年、晩夏。
久々に業務用ハンドヘルドカメラ界隈がお祭騒ぎになった。

ソニーから6年ぶりに新型カメラ「PXW-Z200」(以下:Z200)が登場したからだ。最後に発表された機種「PXW-Z280/Z190」(以下:Z280/Z190)の登場が2018年であり、さらにテレビロケのデファクトスタンダード機となった「HXR-NX5R」(以下:NX5R)から換算すると実に8年ぶりの新機種登場だ。

 
  


NX5Rとの比較。どのように変わったのかが気になる
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発表されるやいなや、SNSや私の周辺でもZ200の話題で持ちきりになった。そして同時に、公式情報や各メディアのレビューを目にしたコンシューマーからは様々な意見や評価が噴出した。

筆者はこの夏、発表・発売前からZ200を長期間に渡って使う機会を頂き、実際に幾つかの撮影現場にZ200を投入し収録、オンエアまで行っている。

そうした実践経験の視点から、ソニーZ200をどう評価したのかレビューしたい。

基本仕様

まず、スペックに関してだが、今回のレビューでは細かくは触れない。また、実業務で使わなかった機能に関しても、殊更にコメントは行わないつもりだ。

仕様や各新機能に関しては、こちらで猿田さんが完璧にまとめてくださっているので、まだ未読の方はぜひ先に読んでいただきたい。

満を持してソニー「PXW-Z200」が新登場!驚きのハンドヘルドカメラをレビュー

Z200の基本スペックは以下の通り。

センサー 1.0型 積層型CMOSセンサー単板式
画素数 総画素数2090万画素/有効画素数1400万画素
光学ズーム比 20倍
焦点距離 24mm~480mm(35mm換算)
最大記録解像度/フレームレート 4K/120p(3840×2160/119.88Hz)
オートフォーカス BIONZ XR + AIプロセッシングユニット
475点の像面位相差AF(測距エリアカバー率・約81%)
NDフィルター 可変式電子NDフィルター(1/4~1/128)
音声収録 最大4チャンネル収録
液晶モニター 3.5型・約276万画素
SDI出力 SDI OUT:BNC、12G-SDI、6G-SDI、3G-SDI(Level A/B)、HD-SDI
入出力端子 HDMI Type-A / USB Type-C / LAN / TC(BNC)他
ネットワーク RTMP/S・SRT対応
外形寸法 約175.6×201.3×371.1mm
重量(本体) 約1.96kg

姉妹機のHXR-NX800もほぼ同等のスペックだが、搭載されている端子が一部オミットされているのと、それに伴ってか重量も約0.03kg軽量になっている。

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本体サイズと重量

Z200を手にして、まず一番の感想は「小ぶり」で「軽量」という感嘆だ。

外寸法は約175.6×201.3×371.1mmで、印象としてはNX5RとPXW-Z150の間ぐらいのサイズ感。

本体重量は約1.96kgだが、オペレーション重量…すなわち、レンズフード・バッテリー(BP-U35・LCDフード・マイクホルダー・アイカップ)の最低限の純正パーツを取り付けると約2.4kgとなる。このスタイルでもショットガンマイクは付いていない状態なので、仮にAZDEN SGM-250LX(0.12kg)を取り付けると、約2.52kgがロケに臨める最低限の装備重量というところだろうか。

マイクホルダーを取り外し、VFを折り下げると、かなりコンパクトになる

Z200は4CH音声収録対応の上、入力にXLR×2系統に加えて3.5mmジャックでのマイク入力も追加

先のオペレーション重量で比較するとZ190で約2.8kg、HXR-NX5Rで約2.5kgとなっている(公称・いずれもマイクなし・小容量バッテリー装着)。

Z200とNX5Rはほぼ同じ重量になるのだが、Z200では重量バランスが見直され、レンズを軽量化して本体の後方に重心が移動したため手持ち撮影時のバランスが良くなっている。

また、レンズのワイド端が24mm(35mm換算)と広角化し、多くの場面でワイコン要らずとなった。そのため、テレビロケではワイコン必須だったZ280・Z190・NX5Rと比較すると、圧倒的に軽量なオペレーション重量となる(ワイド端とワイコンに関しては後述)。

ワンマンロケでの撮影スタイル

さらに液晶モニターの展開・収納方法が新しくなり、ワンアクションで液晶モニターを使用ポジションに展開できるようになった。

また、従来よりも”より遠く”に液晶モニターが開くことで老眼に優しくなっている。遠くなったため、手持ち撮影時にカメラ本体を身体に押しつけてカメラを安定させるスタイルを取っても、液晶画面が近すぎずに見やすい。

液晶モニターがやや遠くなったので老眼が始まった筆者には嬉しいデザイン

理想を言えば、液晶モニターヒンジ部分が前後にスライドして、視度調整可能なギミックになっていればなお嬉しかった。

カメラの左右バランスは良く、上部ハンドルを握って行うローアングル撮影などは、ハンドルに指を引っ掛けてカメラをぶら下げるだけで水平が取れてしまう。

本体の軽量化、重量バランスの見直し、ワイコン不要、手持ち撮影の安定―といった要素が相乗して、数字以上に軽量に感じるカメラになっている。長時間の手持ち撮影になることも多いテレビロケの現場では、この軽量さとバランスの良さは大変に魅力的だ。

スッキリとしたボタンやダイアル配置