大谷翔平の「50-50」記念球を2億円で入札したReebok社長の“思惑”「社長・田中として…個人・田中として」

MLBで史上初の「50本塁打、50盗塁」という記録を達成したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手。そんな彼の偉業を記念した「50-50」達成ボールがオークションに出品されると、早くも億超えの価格に。そのオークションで入札者として名を連ねているReebok Japan社長の田中裕輔氏に話を聞いた。

「50-50」記念球落札にかけた社長の想い

MLBで史上初の「50本塁打、50盗塁」という記録を達成したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手(30)。

大谷選手が打った50号のホームランボールがオークションに出品された。

ファッションブランド「ロコンド」や、株式会社RBKJ (Reebok Japan) で社長を務め、YouTube「LOCONDO CHANNEL」も運営する田中裕輔氏が、9月28日に自身のXでオークションに入札したことを明かした。

29日の時点で落札価格は2億円を突破したが、「もちろんまだ戦います!」と意気込みをみせた田中氏。入札価格は現段階でも史上2位になる見通しだという。

同日、田中氏はXでとある提案をした。「#皆で大谷選手にお返ししたい案」として、例えば落札価格が3億円だった場合、所有権を100万分の1に分割し、1口300円で野球ファンらと共同所有するというものだ。

その場合、所有者は「#皆で大谷選手にお返ししたい団体」で、田中氏はその団体責任者としてドジャース球団にアプローチし、最終的に大谷選手の手元に戻すことを考えていると明かした。

なお、大谷選手の手元に戻った段階で、団体のボール所有権は自動放棄されるとのこと。

今回の経緯について、田中氏に取材を申し込んだところ、以下の回答を得た。

――ホームランボールの落札価格は巨額にもかかわらず、入札をしているのはなぜですか。

田中氏(以下同)現在、私は3社の社長をしていて、1社が「ロコンド」、もう1社が「Reebok Japan」です。

「Reebok Japan」は、当然スポーツと密接につながっていますし、「ロコンド」に関しても、野球のスパイクやサッカー用品などスポーツ商材を多く扱っているので、スポーツ界に非常にお世話になっているんです。

そういった背景がある中で我々としては、“スポーツ業界の活性化”というのは、すごく重要なこと。

そんなスポーツ業界を今一番盛り上げているアスリートは、やはり大谷選手だと思うんですよね。

常日頃から大谷選手に恩返し…というか、できることがあればいいなと思っていたので、今回のオークションを目にした時、金額が高騰することは想定していましたが、できる限り入札を行なって、落札を目指そうと思ったんです。

というのも、これは色々な考え、多様性があっていいと思うんですけど、例えば誰かが落札して、その方だけが棚に置いて眺めるのが一番いい姿かというと、どうなのかなと。

大谷選手は、日本の小学校の子供たちのために、6万個のグローブを寄贈するような方です。

私としては、今回の偉業の証であるホームランボールは、個人が見れる形というよりは、大谷選手の元にボールを返して、大谷選手や野球ファンが望む形になれば良いなと思いました。

それが私ができる恩返しになるのではないかなと。

社長・田中としてはそう思っていて、個人・田中としては、皆さんそうだと思うんですけど、けっこう毎日つらい時もあるじゃないですか。

仕事で失敗してしまったり、家族とすれ違ったり……そういう時に大谷選手のプレーを見て、感動とか元気をもらったと思うんです。

大谷選手の活躍は日々の生活に笑顔とか驚きを与えてくれて、その恩返しをしたいなと思ったんですよ。

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「共同所有」を提案した理由

――Xでは共同所有も提案されていますが、これはどこから来たアイデアなのか。

これは誤解なきようお伝えしたいのですが、あくまでアイデア段階です。

Xでも賛否両論さまざまなご意見をいただき、あとは法律的なことも色々あると思うので……。

最初の投稿に対し、“自分もなにか貢献したい”というお声をたくさんいただきました。そういった声に何か応えたいと思い、提案させてもらいました。

それに、私の想像の範囲ですが、大谷選手からしても、私1人が買って恩着せがましく“私が買ったよ”とするのではなく、“みんなで買ったよ”とした方がいいんじゃないかなと。

どういった形がベストなのかはまだ模索中です。

――実際に大谷選手にホームランボールを返せることになったら、どのように返したいか。

正直、直接お会いしてお返し出来ればそうしたいですが、そこが主目的ではありません。それに、選手の試合や練習の邪魔にはなりたくないので、大谷選手のご希望に沿う形がいいかなと思います。

たとえばその希望がドジャース球団のどこかに陳列するとか、誰もが見れるような場所に飾るとか。私としてはどんな形でも良いと思うんです。

返す時期に関しても、当然今じゃないと思っていて、ポストシーズンがまだこれからあるので、少なくともオフシーズンになってからお話すべきことだなと思います。

諸々整理した上で、選手や球団のタイミングをみながらが良いのかなと。

私個人としては、本人にすぐ渡すのではなくて、日本国内の大谷選手のファンが見れる機会を作れたら良いなと思っています。多くの子供たちに夢を与えてきた大谷選手ですから、子供たちが見れる機会を作れたらより良いですよね。

最後に「MAXどのぐらいまでの予算なんですか?」と聞いたところ、「それは……(笑)お答えはできませんが、できる限り頑張りたいと思っています」と返答し、まだ挑戦する意気込みを見せていた。

果たして記念球は誰が手にするのだろうか。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班