GPUも同様の傾向で、16/16 Proは大きく性能向上
続いてGPU。
16Proがグンと速く、16、15 Proが続く。15は、16 Proの36%減、SEに至っては45%減。つまりほぼ半分の性能しか持っていないことになる。
画像や動画の変換、3Dグラフィックや、ゲームなどにおいては、この性能差が大きく効くことになる。
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Neural EngineはApple Intelligence適合モデルが大幅に高性能。特にQuantizedに注目
そして、一番気になる(ようになった)Neural Engineの性能。
ここは、16 Proを100として、それぞれの数字を見ていこう。
まず、Single Precision (単精度)。科学技術計算、機械学習モデルのトレーニングに必要な性能だ。
iPhone 16 Proを100%とすると、16が88%、15 Proが90%、15が74%、SE3が72%、となる。こちらは、iPhone 16より、15 Proの方が勝っているのが興味深い。15やSE3も善戦しているように思う。
続いて、Half Precision (半精度)。ニューラルネットワークの推論やトレーニングの一部で、精度をある程度犠牲にしても処理速度を向上させたい場合に有効なスペックだ。
こちらは、iPhone 16 Proを100%とすると、16が97%、15 Proが74%、15が61%、SE3が51%、となる。iPhone 16 Proと16にはさほど差がつかず、対して15 Proはグッと引き離され、15やSE3とはさらに性能差がつく。
Quantized (量子化)ではさらに差が大きくなる。スマートフォンなどエッジデバイスのリソースが限られた環境で、低精度でも十分なリアルタイム推論が必要な場合に有効とのことで、ローカルで動く部分が重視されているApple Intelligenceの場合は、こちらが重要な指標になるような気がする。
iPhone 16 Pro、16、15 ProまでApple Intelligence対応で、iPhone 15以下は非対応とされているのは、このあたりの性能が必要とされているのではないだろうか? つまりここが、3万4135のiPhone 15 ProはApple Intelligenceが利用可能だが、2万2744のiPhone 15では使えない。そのあたりがボーダーラインということだ。
iPhone 16 Proを100%とすると、16が98%、15 Proが73%、15が48%、SE3が41%となる。アップルはApple Intelligenceの採用を決めてから、この部分の性能向上にウェイトを置くようになり、それゆえA17 Pro以降のチップセットでは、Quantizedの性能が向上していると思われる。
iPhoneのみならず、iPadやMac、Vision Proなどにおいても、Quantizedの性能に注目すると、Apple Intelligenceにどのぐらい適応しているのかをチェックすることができそうだ。