アメリカ大手デパートメントストアのプライベートブランドとして、1940年代に誕生した〈アーミーツイル〉。ミリタリー由来の民間用衣服を展開していた同ブランドは比較的短命に終わったが、2020年に復活。素材使いやデザイン、着心地などを大幅に改良したモダンミリタリースタイルの提案で大手セレクトショップを中心に好評を得ている。そんなアーミーツイルのすべてを手がけているデザイナーを直撃した。
原点はユニフォームだったミリタリーを日常着としてアップデートしたこと。
「昔からヴィンテージミリタリーは好きでよく着ていましたが、パターンや縫製など、日常着としてはネガティブに感じていた部分も多いのは事実。それらを純粋にアップデートしたのがアーミーツイルの原点だと思います。僕自身、特別なにかに突出しているわけではないですが、全体をいいバランス感で整えるのは得意なんです」
確かに、アーミーツイルはアイテム単品で着るより、トータルコーディネイトすることで格段に魅力が増す。それはブランドとして当然のように聞こえるが、イメージが強すぎて、やや嫌味になってしまったりと、実は容易なことではない。
「最近は日本の気候も不安定で、季節感のある服が着にくくなっているのを感じます。だからこそ、より通年で楽しめる服作りを意識していますね。例えばフリースアウター。昨年はコート丈とハーフ丈の両方を出していたんですが、今季はハーフ丈だけに絞って、その分インナーにニットなどを挿し込みやすいサイズ感に変更しました。そうすることで東京の冬ならこれ一枚でも十分過ごせます」
そして何より、アーミーツイルの最大の強みはボトムスに定番人気のカーゴパンツが据えられていること。これによりコーディネイトに安定感が生まれ、シンプルなアウターでも多彩なミドルレイヤーを揃えることで、着こなしに幅を出している。もちろん圧倒的なコストパフォーマンスも魅力。誰もが無理なく自然に楽しめるミリタリースタイルのあるべき姿だ。
デザイナー多田周平さん|人気ドメスティックブランドでの経験を経て、2020年〈アーミーツイル〉の立ち上げに参画。デザイン、パターン、素材選定などの生産業務からルックブック制作まで、ブランドに関わるすべてを担当する重要人物。
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ミリタリー由来の万能ミドルレイヤーも人気。
1950年代イタリア海軍のスモックがベースになったデザイン。横一文字のフロントポケットが特徴のプルオーバーシャツ。1万4300円
スラッシュポケットを追加したユーティリティシャツ。1万4850円。
80年代のチェコ軍のライナーデザインをスウェットカーディガンに。1万890円。