レッドブルがまた厳しい決断を下した。今季残りの6レースについて、ダニエル・リカルドに代わってリアム・ローソンをRBのドライバーに起用すると決めたのだ。ただ、リカルドの離脱はシーズンの早い段階から検討されていたようだ。
レッドブル陣営は角田裕毅のチームメイトにローソンを起用し、比較をすることで来季以降のレッドブルおよびRBのドライバーラインアップを決定する判断材料にするとしている。
シートを失ったリカルドにとっては、前戦シンガポールGPがF1キャリアのラストレースになると見られている。レッドブルとマクラーレンで計8勝を挙げたオーストラリア人ドライバーは、そのキャリアに終止符を打つことになる。
しかし、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、6月のF1スペインGP後にリカルドをRBのシートから下ろしたがっていたことをレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表が明らかにしたのだ。
リカルドに今シーズンを全うさせなかったレッドブルへの批判がある一方で、ホーナー代表はリカルドをRBのシートに座らせるために彼が直面した戦いについて新たな見解を示している。
RBのドライバーの入れ替えを受けて『F1 Nation』のポッドキャストに出演したホーナー代表は、リカルド更迭の引き金となったのは一貫性の欠如であり、シーズン序盤ですでに、マルコは忍耐力の限界に達していたと語った。
「彼(リカルド)のシーズン序盤は大雑把なモノだったし、マイアミの週末は”半々”だった。金曜と土曜の午前中は素晴らしかったし、フェラーリ勢を相手にマシンを走らせる昔のダニエルのようだった」
「しかし、土曜日の午後と日曜日は悲惨だった。バルセロナのあたりでも、ヘルムートは彼をクルマから降ろしたがっていたし、彼にはすでに大きなプレッシャーがかかっていたんだ」
「モントリオールに着くころには、ジャック・ビルヌーブが彼に苦言を呈することで叱咤激励していた。それで彼も奮い立ったようだ。なぜなら、あの週末の彼の走りは、非常に力強かった」
「だから私は(リカルドに)言ったんだ。『今年の残りのレースは、グランプリのたびにジャックに電話してくれ』とね」
ホーナー代表は、リカルドがレッドブル復帰に値すると証明することを期待していたが、その期待に応えられなかったことでリカルドの運命は事実上決まった。
セルジオ・ペレスがレッドブルでマックス・フェルスタッペンに匹敵するパフォーマンスを見せられず、何度も更迭の噂が浮上する中でも、リカルドが自動的に後任候補となるほどの活躍を見せることはなかった。
ホーナー代表は、リカルドとペレスのパフォーマンスについて次のように付け加えた。
「私は彼(リカルド)がマシンに乗っている時間をできるだけ多く確保し、成果を出せるように最善を尽くした。そうでなければ、バルセロナの時点で彼はマシンを降りていただろう」
「すべてのドライバーは結果を出さなければならないというプレッシャーにさらされているが、ダニエルがあのマシンに乗っていたのは、チェコ(ペレス)が結果を出せなかった場合に、最終的に自分がそのピースを拾えるポジションに戻るためだった」
「問題は、ふたりとも時期によって調子に問題があったことだ。チェコはシーズン序盤から好調で、ダニエルは苦しんでいた。チェコが調子を落とすと、ダニエルは少し調子を取り戻した。しかし『よし、2人のドライバーを交代させよう』と言えるほどの説得力はなかった」
ホーナー代表はまた、ペレスを長期的にどうするかチームが検討する中で、ローソンを即時起用するという決断は、レッドブルがローソンの能力を確実に把握するためのものだと説明している。
「ドライバーについて、大局的な視点からの答えが必要なんだ」
「残り6レース、リアムをユウキ(角田)と並べ、彼がどのようなパフォーマンスを見せるかを見る絶好の機会だ」
「これはVCARBに留まらず、レッドブル・レーシングを包括している話だ。言うまでもなく、セルジオとは来年も契約を結んでいる。しかし次にどうするかについて、常に目を光らせていなければならない」
「それがリアムなのか、プールの外に目を向ける必要があるのか? それともイザック・ハジャーやアービッド・リンドブラッドのように、他の育成ドライバーが満を持してステップアップするのかを検討するんだ」