・さすがの実力
約4年ぶりの『バタチキ』を口にした私は、当たり前すぎて逆に忘れていた衝撃の事実に気付いてしまった。実は松屋のカレーって……めちゃくちゃウマくね?
生クリームとバターによるマイルドな味わいからは、『ごろチキ』のような刺激やスパイシーさは微塵も感じられないが、それを補って余りある甘く濃厚なコクと旨みが、『バタチキ』をスペシャルな存在たらしめている。
さらに、もう一人の主役と言っていいトマトの柔らかな酸味がカレーとしての完成度を底上げし、角が取れたなめらかな口当たりと、飽きのこない適度に複雑な味わいを見事両立させているのだ。
『ごろチキ』が100℃超え上等の灼熱サウナなら、『バタチキ』はぬるま湯でのリラクシング半身浴。全国津々浦々、あらゆるユーザー層にあまねくブッ刺さる理想的なカレーと言っていいだろう。
ただぁ!
まあそれでも、100対0で『ごろチキ』の勝ちだろうな。理由は簡単。『バタチキ』には『ごろチキ』ほどの神秘を感じないからである。
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・神々の棲むカレー
あの苛烈で天井知らずの中毒性が、果たしてどこから来るのか? あるいは偶然の産物なのか? 分からない。何度食べても、その秘密の一端すらつかむことができない。まさに未知。未知との遭遇。ごろごろ煮込未知キンカレー。
たしかに『バタチキ』はウマい。これが全国どこでも、何時でも食べられるのは端的に言って奇跡でしかないが、『ごろチキ』と比べるとまだまだ制御可能な優等生だ。私は知らないものを知りたいのだよ。
やはり『ごろチキ』こそ神であり、唯一無二の絶対的存在なのである。『ごろチキ』よ、一刻も早よカムバック。