フォーミュラE、公式テストで全チームが女性ドライバー起用へ。少なくとも半日の走行を義務化

 フォーミュラEは11月4~7日にバレンシアのリカルド・トルモ・サーキットで公式プレシーズンテストを実施するが、各チームに少なくとも半日、女性ドライバーを走らせることが義務付けられた。

 12月7日にサンパウロで開幕するシーズン11(2024-25年)のフォーミュラE。バレンシアのテストは、全11チームと22人のフルタイムドライバーが参加するプレシーズン唯一の公式走行となる。

 走行は4日間に渡って行なわれるが、11月7日(木)の午後のセッションは女性ドライバー専用となり、チームは少なくとも1人のドライバーを起用することが義務づけられる。ただ、2名の女性ドライバーを起用することが奨励されている。

 女性限定のフォーミュラEテストは2018年にディルイーヤで開催されたことがある。今回のテストに参加する女性ドライバーはまだ正式には発表されていないが、すでに女性ドライバーとつながりのあるチームもいくつかある。

 その中には、3度のWシリーズ・チャンピオンでインディNXTドライバーのジェイミー・チャドウィックも含まれている。彼女はアンドレッティに所属し、今週初めにはチームのインディカーマシンもテストしている。

 また彼女は昨シーズン、ポートランドで公式セッションの合間にフォーミュラEからGen3 Evoマシンをドライブする機会を与えられている。

 他にもF1アカデミーの初代チャンピオンであるマルタ・ガルシアが、ベルリンで行なわれた公式ルーキーテストにERTから参加。アリス・パウエルもエンヴィジョン・レーシングの一員として参加した。

 フォーミュラEが創設されてからの10年間で、レースに出場した女性ドライバーは3人しかいない。

 キャサリン・レッグは2014年にアムリン・アグリから2戦に出場し、いずれもポイント圏内でフィニッシュしている。同時期にトゥルーリ・フォーミュラEチームに所属していたミケーラ・セルッティも4戦に出場。シモーナ・デ・シルベストロはアンドレッティから12戦に出場し、2016年に2度の9位フィニッシュが最高だった。

 フォーミュラEはシーズン11から第3世代マシンを進化させたGen3 Evoが使われるが、このテストでは全ドライバーが新しいGen3 Evoマシンを試乗できる。またすでにシーズン13(2026-27年)に導入される第4世代マシンのGen4も開発が進められており、このマシンにはパワーステアリングが装備されると見られている。

 これまでパワーステアリングはF2やF3といったジュニアマシンには搭載されておらず、女性ドライバーにとっては障壁のひとつとして認められてきた。

 フォーミュラEのCEOであるジェフ・ドッズは次のように語っている。

「モータースポーツの多様性を高めるための単純な解決策がないことは分かっている。しかし、我々のシリーズで本当に女性に平等な機会、そして知名度を与えようとするならば、彼女たちの成長を助け、すでにスターティンググリッドに着いているドライバーたちと互角に戦えるよう、すべてのドライバーに同じ条件を与える必要がある」

「古いマシンや制限のあるマシンを使わなければならない他のシリーズとは異なり、女性ドライバーは選手権ドライバーと同じように、F1マシンよりも30%速く加速する最新鋭のGen3 Evoマシンを使用する」

「我々はまた、1回のテストで長年の問題が解決されるわけではないことも認識している。しかし、まだ長い道のりがあることを承知したうえで、前進を続けるための積極的で一貫したステップを確実に踏んでいくためには、どこかでスタートを切る必要がある」

「フォーミュラEは、男性ファンと女性ファンがほぼ同数のモータースポーツであり、私のエクゼクティブ・チームやディレクター・チームを含むフォーミュラE内部でもそうである」