20人のトラッド巧者が「手放せない」と語る20のアメトラ名品。それぞれの個人的なエピソードや、いまだからこそ感じる魅力を織り交ぜて紹介する。全20選のうち、今回はNo.09〜12をお届け。

09…SIERRA DESIGNS / MOUNTAIN PARKA

ロクヨン”の魅力はスタイル不問で継続中。

70年代に起こったヘビーデューティブームの影響で、“ロクヨン”という言葉とともに日本に普及した〈シエラデザインズ〉のマウンテンパーカ。コットン60%、ナイロン40%をブレンドしたロクヨン生地は、耐久性や撥水性がありながら、天然素材らしい味わい深さも備えている。そんな名作をすでに2着も着古したという鈴木さん。

「3着目は上野の『守屋商店』で、しかもデッドで購入した80年代製のものです。この時期の個体は、近年のロクヨンクロスとは質感が違っていて、緑の色味が深いですね。僕も昔はラギッドなアメカジが好きだったので、ジーパンやワークブーツに合わせてましたが、アメトラへと趣向が移ってきても“シエラ”だけは着続けてます。

スタイルを選ばない名作です。いまはスポーツコートの上から羽織ることが多いですね」

Recommender:ビームス プラス/鈴木太二さん|「ビームス プラス 丸の内」店長。アメトラへの探究心が強く、映画作品にリアルなアイビースタイルを発見することが趣味のひとつ。

(広告の後にも続きます)

10…WALK-OVER / WHITE BUCKS

汚れた面もサマになるアイビー玄人の必需品。

よりコアなアイビーファンであるほど欠かせない必需品が、バックスシューズ。本来はバックスキン(鹿革)が用いられていたが、現在ではヌバックが主流。なかでもレンガソールの赤土色とアッパーの白色の組み合わせがアイコニックなホワイトバックスは、アイビー好きからの絶大な支持を得る。

「いろんなホワイトバックスに手を出してきましたが、毛足の長さとほどよいスマートな木型から、やっぱりバックスシューズの元祖である〈ウォークオーバー〉が一番履きやすい、というのが結論です。カジュアル寄りの靴ですが、ウールトラウザーズやスーツにも合わせられますので、かなり万能です。

いまっぽいワイドなシルエットのパンツを合わせて、溜めた裾からバックスの白をチラ見せしたりと、現代的に履くにはどう合わせるべきかを模索中です」

Recommender:シップス/松尾教平さん|シップス入社後、ショップ勤務を経て現職であるプレスに。YouTubeのシップス公式チャンネルにてラジオ動画を配信中。