「コロンビアが世界最高峰に挑戦」独自技術“オムニヒートインフィニティ”がエベレストの山頂でも通用することを登山隊が実証!の画像一覧

街中でも見かける機会の多いアウトドアブランド「コロンビア」のウエア。アウトドアシーンで培われた比類なき対候性を持ったウエアは、真夏や真冬でも活躍してくれるため愛用している人は多いはず。カジュアルシーンで大活躍してくれるコロンビアのウエアですが、過酷なシーンでガチ使いしている人はあまり多くないのでは。そんな人たちにも、登山を愛する人達にも注目のプロジェクトが『WIN THE SUMMIT PROJECT』です。

世界で一番高い山、エベレスト登頂でも通用するアタックウエア作り


コロンビアが持つ技術をおしみなく投入した、高所登山用ウエアの性能を実証するプロジェクトが、2013年にスタートした『WIN THE SUMMIT PROJECT』。コロンビアが国際山岳ガイドの近藤謙司さんとタッグを組み、世界最高峰エベレストの登頂を目的として、理想の高所登山ウェアの開発を目標としています。そして同年、コロンビア独自の熱反射保温機能「オムニヒート」を搭載したウエアとともに、近藤さんが率いる登山隊はエベレスト登頂という快挙を成し遂げています。

そんな一大プロジェクトが11 年ぶりに始動。今回のウエアには従来の「オムニヒート」から保温力が向上した最新テクノロジー「オムニヒートインフィニティ」が採用され、氷点下30℃にもなるエベレスト山頂付近でも十分な保温力を保ちながらも、軽量化と機動力の両立が図られました。

写真提供/三戸呂拓也

そんな性能を実現したウエアを、近藤氏が代表を務めるアドベンチャーガイズ社によるエベレスト公募登山隊がまとって地球の頂を目指し見事に成功! 


公募登山隊7名がエベレストの頂(8,848.86m)踏みました。

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ウエア開発とプロジェクトを成功へと導いた近藤謙司さんへインタビュー

株式会社アドベンチャーガイズ 代表取締役、株式会社ダイナウォール代表取締役

近藤謙司さん

国際山岳ガイドとして、一般の人々を極限の自然へ案内する事に喜びを感じ、夢を実現化させる登頂請負人。

9月3日にはエベレスト遠征試写・報告会が開かれ、その会場で公募隊をエベレストの山頂へ導き、ウエア開発にも携わった近藤謙司さんにお話を伺いました。

--2013年にコロンビアとタッグを組んでエベレスト登頂用のウエアを製作されましたが、今作と前作で大きく変わったところはありますか?

 「変わったとことが実はほぼないんです。というのは、前回のウエアが完成形に近かったから。一番変わったところといえば、オムニヒートインフィニティに変わってさらに保温性が増したところですね。(オムニヒートインフィニティとは体の熱を反射し保温する機能をもった素材で、ダウン量を抑えながらも保温力をキープすることが可能。その結果、ウエアの軽量化と機動力の確保が実現でき、登頂を目指す登山隊をサポートする理想的な登頂アタックウエアとなったそう)」

--デザインへのこだわりなどがあれば教えて下さい。

「デザインについては、前回の登頂で気になったところをいくつか変更しました。といっても大きな変更ではないですが、フードのフラップの形状を変更し強風時でもバタつきを抑えるフックの装着。その他ではウォッチホール(左手袖)を作りました。時計についてはウエアの上から装着する人もいますが、私は血中酸素濃度などを計るために直接肌につけているためです。それにガイドとして、酸素ボンベの残りや行動時間をつねにチェックする立場にあり、時計を頻繁にみる必要があるためウォッチホールが役立つんです」

「また内ポケットについては、ナルゲンボトルを左右あわせて1ℓ入るくらいのサイズを用意しました。極寒ではありますが、呼吸の回数が通常の3~5倍まで増える高地では呼気から蒸発する分、また高地順応で失われた水分を補給する点からも、水が凍らないように内ポケットに入れられていつでも飲めるように持ち運べるのは重要なんです」

「また私の個人的な思い入れでセパレートタイプを採用しているのもこのウエアの特徴です。一般的に、高所登山ウエアのウエアではワンピースが多いのですが、セパレートだと上だけを脱いでなど温度調節がしやすいんです。50日にもわたる遠征なので、快適性も重要視しています。セパレートなので、上下のウエアが重なる部分の羽毛量、特にパンツのほうは減らして着心地のよさにはこだわりました」

--鮮やかなブルーとレッドの組み合わせですがカラーについて特徴があれば教えて下さい

「ブルーの部分は柔らかくフィット感に優れた生地、レッドの部分は裂けにくく、スクラッチにも強い生地を採用しています。強さだけでなく軽さにもこだわりました。ブルー×レッドのカラーはエベレストでも映えて注目されることも多かったですね。とくに上着を脱いだ時など、内装のオムニヒートインフィニティのゴールドカラーはか別の登山隊から注目されました」

--最後に、コロンビアが山を愛する人たちにエールを送る「山に行きたい理由がある。」近藤さんが山に行きたい理由を伺った

「それは山に行きたい人がいるから。山へ行きたい人がいなかったら登ることはありません。なぜなら私が山岳ガイドだからで、私の存在理由だと思っているから(笑)。だからぜひみなさん、山を好きになって欲しいですね。私の仕事がなくなっちゃうから」

と笑って話されていたが、太古の昔から続いている景色に出会えることや、自分で進む道を選び切り開くところなど、世界で一番高いところに導くガイドとしてではなく、純粋に山を愛する男のコメントも聞くことができた。

近藤さんの話を聞いて驚きだったのは、アタックウエアには市販ウエアと同じオムニヒートインフィニティが使われていること。今回のアタックウエアの市販予定はないが、オムニヒートインフィニティを用いた様々な製品が展開されている。つまり、世界一高いところでも通用する機能を用いたウエアを普段着として使えることができる。これから寒さが厳しくなる季節を“エベレスト品質”のウエアと共に過ごしたくなるWIN THE SUMMIT PROJECTだった。

近藤さんがガイドを務め、50日間にわたった『WIN THE SUMMIT PROJECT 2024』エベレスト遠征。ドキュメンタリーフィルム『THE ROAD TO EVEREST』では、ベースキャンプに向けたエベレスト街道のトレッキングから高度順応の様子、緊迫したエベレストアタックシーン、そしてコロンビアが同プロジェクトに取り組む理由などが盛り込まれています。

登山者視点の過酷な登山道、また貴重なドローン映像による神々しいまでのエベレストの姿を見ることがYouTubeで見ることができます。また、WIN THE SUMMIT PROJECTの詳細についてはこちらからもチェックできます!

取材・文/MonoMax編集部 写真提供/コロンビア