普通、株の世界は想定通りにいかないものだが、今回は分かりやすかった。石破政権が誕生しての日経平均の下げと、その後の反発しての上げだ。

 9月27日の金曜日に自民党総裁選挙石破茂氏が勝利し、総裁になることが決まると、週明け30日の日経平均は円高もあって株価は1910円下落という、過去5番目の下げ幅を記録。ところが翌10月1日には幅広い銘柄に買いが入り、732円高い3万8651円まで戻した。

「金曜日に石破新総裁が誕生すると、SNSではブラックマンデーならぬ『石破マンデー』や『石破下げ』などと言われ、月曜日の株価に下げ圧力がかかることがほぼ100%の可能性として騒がれました。その段階ですでに、直後に反発して上げるだろうことも見込まれ、『反発狙い』の声も上がっていました。そして実際には下げ幅は取り戻されはしませんでしたが、大方の予想通りに株価が動きました」(経済ジャーナリスト)

 もともと石破氏は金融所得課税に前向きな発言をしていたことから、マーケットでは嫌われ者。かたや総裁選の決選投票で敗れた高市早苗氏は積極財政や利下げ論者なので、マーケット期待値が高かった。だから石破氏が総裁になれば株価が下がることはほぼ自明だったが、逆に言えば大きな下げ幅は人気者の高市氏が敗れたショックが大きく左右しただけで、そんなことは織り込み済みと、安値で株を拾おうという勢力も生まれる。すぐに株価が上がることも、半ば自明のようなものだった。

 といったように、ここまでは大方の読み通りなわけだが、さて今後は。

「過去の例から見ると、かなりの高確率で株価が上昇すると思われます。というのも、過去、衆院の解散から総選挙まで、株価はほぼ必ずと言っていいほど上げているからです。唯一下げたのが1976年の選挙の時で、この時は任期満了による選挙だったので政権が追い込まれたイメージが悪く作用しました」(アナリスト)

 しかも石破総裁は、10月1日の総理就任を前に、早くも10月9日解散・27日総選挙と、総裁になる前は否定していた「早期解散」を易々と受け入れてしまったからなおさらだ。となると、マーケットから期待されている経済政策での岸田路線の継続は不可避。株価が下がる明確な要因は見つけにくい。

「加えて選挙と株価の関係で言えば、自民党勝利はその後の株価を上げています。その場合の賞味期限は3カ月までとされているので、年内は逃げ切り、日経平均4万円台の復活も見込まれます」(同)

 ただし選挙に負けると話は全く別で、過半数割れすると株価は下がるという。やはり選挙での勝ち負け次第というわけで、株をやる方は10月27日まで選挙戦の趨勢を固唾を呑んで見守る必要がありそうだ。

猫間滋

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