・地獄の夜
なんか、薬が食道の途中に張り付いているような感覚がする。この「食道の途中に張り付いている」というのはあくまでも感覚であって、実際に張り付いているのかどうかは不明。とりあえず私は水をガブ飲みして再びフトンに横たわった。
しかし喉のつかえは治まるどころか激しさを増し、次第に胸焼けと胃痛の同時進行みたいな苦しみが襲ってきた。なぜか背中もメッチャ痛い。このような経験は初めてである。何これ??
しまいに呼吸もしづらくなった私は、隣の部屋で寝ていた中澤記者を叩き起こし「死ぬかもしれない」と告げた。このとき即座に「病院へ行こう」とコートを羽織った中澤記者の頼もしさったら、正確には真夏なのでコートを羽織ったハズもないのに、コートを羽織ったと錯覚するほどであった。
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・こんな時、どうすんの?
しかしながら、まだ私は自分が真夜中の救急病院に駆け込むほどの状態かどうかを図りかねていた。とりあえず知識のある人の意見が欲しい。話し合いの結果、私は生まれて初めて「119番」に電話することに。
電話口の方に自分の状態を告げ「私はどうすれば?」と尋ねると、「私は医者ではないので判断できない。#7119へ電話してください」との答えだった。
恥ずかしながら私は全く知らなかったのだが、「#7119」とは『救急安心センター事業』へ繋がる番号。救急安心センター事業は「病院へ行くべきか」「救急車を呼ぶべきか」などの判断を医療従事者の方が下してくれるという、今の私のためにあるようなサービスである。日本の医療体制、素晴らしすぎるだろ。
#7119へ電話しコトの成り行きを伝えたところ、看護師の女性は「今すぐ消化器内科へ行ってください」と受け入れが可能な病院を教えてくれた。様子を見守っていた中澤記者が再びコートを羽織った(気がした)のは言うまでもない。
が! この電話を切った直後、強烈な吐き気に襲われた私は、トイレで胃の中身を全部吐いた。なお私がこの日飲んだのはビール2杯、レモンサワー2杯、ハイボール1杯のみ。それも8時間かけてのチビチビ飲みである。
そもそも私は一度胃に入れた酒を吐くほど裕福ではないし、今回の事態が決して飲み過ぎによるものでないことは強く断言しておきたいところ。
で、胃の中身を全部吐いた私は「死ぬかもしれない」状態から「ドッと疲れた」状態に一瞬で移行。「一旦休憩させてくれ」とフトンに横たわると、気づけば朝になっていた。中澤記者がいつコートを脱いだのかは知る由もない。
ちなみにこれは私が朦朧とする意識のなかで書いた「深夜対応してくれる消化器内科」のメモ(※ 日によって状況は異なります)。大阪の同僚の実家で死にかけたうえ吐き散らかした思い出として、生涯保管するつもりだ。