motorsport.comの取材によれば、ホンダはこれまでテクニカルディレクターを務めてきた河内健をMotoGPのテストチームに異動させ、そこで技術的な役割を担わせているという。
河内はMotoGP活動を終了したスズキから移籍する形で、2023年のシーズン初めからホンダのレース部門に加わることになった。
河内はスズキ在籍時代、ジョアン・ミルと共にワールドチャンピオンを獲得した経験を持っており、その手腕には大きな期待が寄せられた。しかしホンダは苦境から抜け出せず、ドゥカティとの差を縮めることもできなかった。
ホンダで河内は、ワークショップ、ファクトリーチーム、そしてサテライトチームのLCRとの間の橋渡し役を務めてきた。しかし今後はテストチームでの仕事に専念するという。
この異動はすでに数戦前から実施されていたが、気付かれることはなかった。しかしホンダは、MotoGP日本GP開幕前日のもてぎで、この人事異動について認めた。
「河内健は現在、HRCのテストチームで技術的な役割を担い、レースでの経験と情報を提供することに注力しています」
ホンダはそう語った。
「テストチームの重要性が増しているほか、2025年までのテストライダーは3人に拡大する予定であるため、開発のあらゆる側面で経験を積んだ人材が必要不可欠なのです」
河内の後任としてテクニカルディレクターを務めるのは、社内で昇格した川瀬幹彦だという。自身も若い頃はライダーを目指していた川瀬は、2008年にホンダに入社。2012年にはMoto3マシンの車体領域のプロジェクトリーダーを務めた人物だ。夢が高じてレーシングマシンの開発を率い、そして2019年にはMoto3クラスでチャンピオンを獲得。その彼が、MotoGP最高峰クラスで、重責を担うことになった。
なおMotoGPでは日本人ライダーの中上貴晶が、今年限りでフル参戦を終了。来季はホンダのMotoGP開発ライダー就任が決まっており、日本と欧州の架け橋になることが期待されている。
苦戦が続いてきたホンダがそこから脱却を図ることができるのか? 注目が集まる。