9月18日、中国広東省深圳市で、日本人学校に登校中の男子児童が中国人の男に刺殺されるという事件が起きた。満州事変の発端となった柳条湖事件(1931年)と同日に起きたことから、中国が行ってきた「反日教育」「反日プロバガンダ」に改めて批判の目が向けられている。

 中国情勢に詳しいジャーナリストが語る。

中国外務省は『いかなる国でも起きる可能性がある』と声明を発表し、地元警察も『偶発的な個別事案』として火消しに躍起になっていますが、今年6月にも江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスが襲われたばかり。事件を『偶発的』と決めつけるのは、さすがに無理があります」

 事件が起きた日やこれまでの経緯から、中国に根深く残る「反日感情」が少なからず犯行に影響を与えたのは間違いない。

 9月23日には中国外務省の報道官が会見で、「中国に反日教育はない」と否定したが、今年5月まで中国広東省の刑務所に服役していたという日本人受刑者はこう反論する。

「私がいた東莞刑務所には中国人だけでなく、私のような日本人や欧米、アフリカ系の外国人が収監されていました。そして塀の中で何度も見せられたのが反日戦争映画。日本兵が侵略した農村でレイプや強奪など暴虐の限りを尽くす内容で、『日本人は悪い奴だ』と洗脳していくんです」

 前述した「9.18」だけではない。中国国内で「反日」の機運がさらに高まるのが、1937年に南京事件が起きた12月13日だ。

中国では国家追悼日と位置づけ、1週間ほど前からニュース番組が大々的に特集を組みます。その内容は、いかに日本兵が残虐だったかを伝えるもので、受刑者たちに視聴を義務づけるのです。あれだけ繰り返し反日番組を見せられたら、たとえ日本人でも歴史認識や愛国心が大きく揺らぐはずです」(元受刑者)

 中国のSNSで、デマや誹謗中傷が野放し状態になっているのも大問題だ。日本人学校についても、

「スパイを育成している」

「対中工作の拠点だ」

 といったデタラメな書き込みが見られたが、日本に工作員を仕込んでいるのはむしろ中国側と言っていいだろう。

 8月19日、NHKのラジオ国際放送で、中国籍の外部スタッフが沖縄県尖閣諸島について「中国の領土」などと不適切発言を連発したのだ。前代未聞の“放送事故”を受けて、NHKは役員4人の報酬50%カットや国際放送局長ら5人の懲戒処分を発表したが、国際ジャーナリストの山田敏弘氏は追及の姿勢を崩さない。

「私が知る限り、人民解放軍などの関与はなく、単独犯という位置づけですが、やっていることは重大な電波ジャックですよ。もしも、国際放送のラジオではなく、民放地上波が乗っ取られて、ゴールデンタイムの10分間で『尖閣諸島は中国の領土だ』『沖縄は日本の領土ではない』などと喧伝されたら、国家を揺るがす一大事ですよ。NHKの会長が頭を下げて済む話ではなく、政府、国がきちんと対応すべきです」

 これも「反日洗脳教育」の賜物と言うべきか。

(つづく)

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