クロネコヤマト (C)週刊実話Web

「2024年問題」で大揺れの物流業界。業者間で荷物争奪戦が展開されており、宅配便業界トップのヤマト運輸が“逆張り値下げ”に出たことで、業界は混乱をきたしている。

物流業界は今年4月にドライバーの時間外労働の上限規制が導入され、拘束時間や休息時間などの規制も強化された。ところが、法人顧客の開拓を進めているヤマト運輸がその獲得のため、コストを下げる大幅な割引を適用していることが明らかとなったのだ。

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「ある中堅物流会社の幹部は『うちは大手通販会社の配送を2社で分け合っていたんですけど、荷主業者が5月から委託先をヤマト1社に切り替えた。ヤマトが収益お構いなしに、大胆な値引きをしたからです。おかげで月商が2億円減った。年間にすると約24億円。痛いですよ』とボヤいていました。ヤマトは配送網の構造改革の効果で、早期に値下げ分を回収できる公算があるから大胆な引き下げに踏み切った。“ヤマトが業界の秩序を壊している”と怒りの声が上がっています」(物流アナリスト)

佐川急便は取扱実績が大幅減

宅配便各社の荷物の取り扱い状況を示す月次実績によると、ヤマト運輸は2024年度の宅配便の月次取扱実績がプラスで推移。着実に荷物を獲得していることが窺える。

「ライバルで宅配2位の佐川急便を擁するSGホールディングスはヤマトの値下げの影響で、特に6月は前年同月比8.1%減。実績を開示している2018年度まで遡っても単月ベースでは最大級の減少幅になったほどです。SGホールディングスは2024年度の宅配便個数の通期見通しを13.8億個から13.6億個への引き下げを余儀なくされました」(同)

他の中堅宅配業者もヤマト運輸のダンピング攻勢で顧客を奪われている。

「物流業界は、安値受注の過当競争を長らく経験してきた。SGホールディングスは運賃や単価の適切な値上げを進め、効率化策も実行して物流業界全体で待遇や地位を底上げしていくため、適正な運賃を収受する方針は変えないようです」(宅配業者関係者)

しばらくは、“仁義なき荷物争奪戦”が続きそうだ。

「週刊実話」10月17日号より