2024年10月3日に開催されたAnkerの新製品発表会、Anker Power Conference 2024に行ってきた。すでに、Anker自身からも情報発信されているし、さまざまなメディアからも情報が出ているので、ここでは概要とThunderVoltが注目している商品についてお伝えしよう。
Anker Power Conference 2024
https://www.ankerjapan.com/pages/anker-power-conference-24-fall
(企業がまとめてくれると便利だけど、メディアとしては個々の製品をお伝えする必要がなくなるよね……(笑) 発売されているもの、予約受付中のものなどいろいろあるので、そのあたりの詳細はこちらを参照のこと)
Ankerの唯一無二のポジショニング
まず、何がすごいって、こうやってシーズンごとにメディアやYouTuberを招いて発表会をできることがすごいのである。
ご存じのように、Ankerはマーケットにおいて独特の地位を築いている。少なくとも10年前はそうではなかったが、今やモバイルバッテリーや充電器においては『Anker一強』という状態である。
iPhoneが、2007年に登場して、しばらくしてから一般の人に『モバイルバッテリー』や『充電器』が必要とされるようになった。パソコン、タブレット、スマホ、ワイヤレスイヤフォン、などを持ち歩くのが当たり前になった現代において『電力源』は米でありパンである。
しかしながら、アップルなどの純正品はじめ、信頼のおける社外品は高価だった。逆に『モバイルバッテリー』や『充電器』は火災などのリスクをはらんだ商品なので、安価な製品はトラブルと背中合わせだった。我々消費者にはその二者択一を強いられていた。
その中で、『リーズナブルで、信頼性が高い』という製品を作り上げたのがAnkerである。そう言うのは簡単だが、それは容易なことではない。コロナ禍や、円安という猛烈な逆風が吹いた中、依然として『リーズナブルで、信頼性が高い』というポジションを維持しているというのは尋常なことではない(コロナ禍は、デバイスメーカーにとっては追い風の側面もあったかもしれないが)。
また、どうしても事故は発生するが、その時の真摯な対応も重要なポイントだ。製品保証や、万一の事故発生時の対応にもAnkerは心血を注いできた。だから、今があるのである。
2021年10月からアンカージャパンの代表取締役CEOを務める猿渡歩さん。
ちなみに、Ankerは中国企業だが、製品は米国欧州を含めた世界中で販売されており、特に黎明期から大きな売上を上げてきたアンカージャパンの発言力は大きいようだ。モバイルバッテリーや充電器という、周辺機器市場において、日本のユーザーが先進的で、そのニーズに応えることで世界の市場に対して優れた提案ができるということも含めてAnkerは日本市場を重視している。
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スマホメーカー未満、一般の周辺機器メーカー以上というポジショニング
その、米でありパンである『モバイルバッテリー』や『充電器』という市場がいつまで存在するのかは分からないが、Ankerはその市場で得た利益で、他の市場を開拓しようとしている。
それが、ポータブル電源、イヤフォン/ヘッドフォン、スピーカー/ビデオ会議用品、掃除機、プロジェクター、セキュリティカメラ、紛失防止トラッカー……などなどだ。
オリジナリティを重視するThunderVoltとしては、どの商品も「どこかで見たような……」とは思う。正直、二番煎じはは否めないし、尊敬できない。しかし、新規カテゴリーの最初の商品は、品質は高いとはいえないのだけれど、粛々とアップデートを続け、いつの間にか、他が追従できないコストパフォーマンスを実現するようになる。
モバイルバッテリーカテゴリーと、スマートプロジェクターカテゴリーでは、ここ数年No.1の座を揺るぎないものとしているが、今回新たに完全ワイヤレスイヤフォンとしてNo.1の座を獲得したそうである。
市況からするとAirPodsシリーズという巨人がいそうな気がするが、アップルの販売台数はApple Storeなど統計に出てこない部分が多いのかもしれない。下に小さな字で『※直営店を除く主要販路において……』などの注釈が付くが、それにしてもNo.1はすごい。
比較的高価なアップルやSONY、そしてオーディオブランドの製品に対して、Ankerは今回のフラッグシップモデルであるSoundcore Liberty 4 Proでも1万9990円。一番安い製品だと4000円台のものまである。オーディオ製品についても、「いつの間にかAnkerが席巻していた」ということが起こってもおかしくない。
Ankerは、スマホメーカー未満、一般の周辺機器メーカー以上……という現在の自らの立ち位置をよく分かっている。だから、スマホやタブレットを作ろうなどとはしないし、プロジェクターや、掃除機、セキュリティカメラ……などの、『勝てる可能性のある中カテゴリー』に注力するのである。興味深い戦略だし、今後が楽しみではある。