メルセデスは以前より、レッドブルのマックス・フェルスタッペンを獲得することに興味があると明言してきたが、2025年のドライバーラインアップをジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリとすることを決めた。これにより、もはやフェルスタッペン獲得に動くことに主眼は置いていないという。
ルイス・ハミルトンが今季限りでメルセデスを離れることが決まった後、チーム代表のトト・ウルフは、後任としてフェルスタッペンを起用することを目指してきた。またレッドブル内部での権力闘争などの影響もあり、フェルスタッペン側としても、移籍を視野に入れているのではないかという噂も飛び交った。
両者の意向には合致する部分も多く、実際に話し合いが何度も行なわれた。しかしその話し合いは進展せず、メルセデスは育成ドライバーのアントネッリを2025年のドライバーとして起用することを決めた。
ラッセルとアントネッリという非常に若いコンビを揃えたことで、メルセデスのラインアップは当面このまま続くと考えられている。そのためウルフ代表としては、もはやフェルスタッペンとこれ以上積極的に関わる必要はないと考えているようだ。
「我々はもう何もしていないよ」
ウルフ代表はフェルスタッペン側との話し合いについて、そう語った。
「以前も述べたと思うが、マックス側からも同じような意見がある。ドライバーやチームを信頼しなければいけない。成功させるためには、最大限のサポートが必要なんだ。そして本当にうまくいかなかった場合は、他のチャンスを検討する」
「私としては(これ以上フェルスタッペン側と話を続けるのは)、(チーム内の)関係をうまくやりつつ、外で浮気するようなものだ。そんなのは成功しない。私は外で浮気するようなことはしないんだ」
「変化を起こしたい。または変化を検討したい場合にのみ、話し合いをすることを求める。それは彼の方でも同じだ。その点では、我々の価値観がかなり一致していると思う」
メルセデスは、アントネッリについては長期的にチームで活躍する存在だとみなしている。しかしラッセルについては、2025年限りでメルセデスとの契約が切れるため、その将来に注目が集まっている。レッドブルが、セルジオ・ペレスの後任としてラッセル獲得を狙っているという話もある。
しかしウルフ代表は、ラッセルも今後長い間メルセデスにとって必要不可欠な存在になると見ており、アントネッリという若い才能と対峙することを喜ぶはずだと考えている。
「ジョージは、カートやジュニアフォーミュラに関して、(アントネッリと)同じような軌跡を辿ってきた。しかもジョージは、我々に加わった最初のメルセデスジュニアなんだ」
そうウルフ代表は続けた。
「そして彼は今でも、我々メルセデスのドライバーなんだ」
「(ラッセルとアントネッリの間には)大きな違いはない。我々は彼らに、同じだけのサポートを与える。何も違いはないよ」
「F1のトップドライバーはみんな、若くてもベテランでも、チームメイトと戦う必要があることを理解している。ジョージの今のチームメイトはルイス・ハミルトン……史上最高のドライバーだ。この3年間にわたってね」
「だから大きな期待を背負ってデビューする最年少ドライバーとも、問題なく戦えるはずだと思う」
なおレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコ博士も、ウルフ代表と同じような見方をしている。マルコ博士は、優先すべきは角田裕毅をはじめとしてレッドブル陣営内にいるジュニアドライバーを登用することであり、ラッセルを獲得することは視野に入っていないと明かしていた。