アストンマーティンは、伝説的なF1デザイナーであるエイドリアン・ニューウェイの獲得に成功。そのニューウェイは、2025年の3月からチームに加わり、その手腕を振るうことになる。
しかしチーム代表を務めるマイク・クラックは、ニューウェイが加入するのをただ待っているだけでは、ニューウェイが加わったとて、大きな進歩を遂げるのは難しいと考えている。
レッドブルからの離脱を決めたニューウェイは、様々なチームによる取り合いとなった。メルセデスやフェラーリも彼に触手を伸ばしたが、最終的にニューウェイが移籍先として選んだのはアストンマーティンだった。
アストンマーティンは、巨額の投資を行なってシルバーストンのファクトリーを一新。最新の風洞施設も稼働に向けて準備が進められている最中だ。また、2026年からはホンダのワークス・パワーユニットを獲得することも決まり、さらにはニューウェイ加入の発表と前後して、各チームから様々な有能な人物を獲得している。勝てる体制が整いつつあるように見える。
ただニューウェイが加入するのは、現在のレッドブルとの契約により2025年3月。その後は新レギュレーションが施行される2026年用マシンの開発に注力することなる。
ニューウェイの獲得は、チームの将来に向けて大きな後押しになるのは間違いない。しかしクラック代表は、現在アストンマーティンがコース上で苦戦している状況を、忘れてはならないと考えている。
昨シーズンはフェルナンド・アロンソが何度も表彰台に上がるなど、一躍トップチームの仲間入りをして見せたアストンマーティン。しかし今季は、昨年に比べれば低迷し、表彰台を確保することができていないのだ。
ニューウェイと共に進める2026年プロジェクトに対する期待と、現在の苦境のバランスを取るのがいかに難しかったかと尋ねられたクラック代表は、「とても大変だった。もちろんだ」と語った。
「しかしその一方で、2025年にはエイドリアンに、我々の実力を示すことも必要だと思う。それが我々全員のモチベーションになると思う」
ニューウェイがやってくるまで、チームのスタッフたちが待ってしまうという危険性もあるのではないかと尋ねられたクラック代表は、次のように語った。
「そういうことが見られたとしても、長くは続かないだろうね」
ニューウェイは既にアストンマーティンのファクトリーを訪れ、チーム首脳陣との話し合いも行なった。しかしレッドブルとの契約がまだ残っているため、できることは著しく限られている。
正式加入前のニューウェイとどれほど意見交換ができるかは、自分の手に負えないことだとクラック代表は明かした。
「私には分からない。法務部門に確認する必要があるね」
「こういうことには、十分注意する必要があると思う。ご存知の通り、今後法的な問題には巻き込まれたくない。それが正しいことだとは思えないんだ」
またクラック代表は、現在チームが置かれている状況には満足していないと語った。
「我々は望んでいたようなところに到達できていない」
そうクラック代表は言う。
「我々の目標は明らかに、トップ4チームとの差を縮めることだった」
「シーズン序盤、我々は5番目くらいの速さであることは分かっていたんだ。そして、その差を縮めることが目標だった」
「でもそれを達成することはできなかった。他のチームが、我々よりもパフォーマンスを向上させた。それが現実であり、我々が理解して対処しなければいけないことだ」
