ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤは、MotoGP日本GPのスプリントで優勝。これでスプリント3連勝となったが、その完璧な走りはスタート前から始まっていたようだ。
2番グリッドからスタートしたバニャイヤは、ポールシッターのペドロ・アコスタ(GASGAS)を捉えてホールショットを奪うと、レースをリード。しかし3周目にアコスタに抜き返されてしまった。
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2番手に落ちたバニャイヤだったが、アコスタに大きく離されることなくコンスタントに走行を続けると、9周目にアコスタが転倒。これで首位を取り戻した。
その後はトップを譲らずフィニッシュしたバニャイヤだったが、クールダウンラップで燃料切れによりバイクを止めたシーンが国際映像で捉えられた。
「(燃料の)マージンは十分あったよ……コーナー9個か10個分のマージンだ!」
レース後、そう語ったバニャイヤ。この燃料切れは想定外のモノではなく、彼は見事にレース、そして自分のバイクの燃料をマネジメントしてみせたのだ。
バニャイヤのバイクの燃料がパルクフェルメまで燃料が保たなかったのは、彼が路面コンディションを把握すべく、サイティングラップをスロー走行しなかったからだ。
現在、ライダーたちはガレージを離れてダミーグリッドまで向かうサイティングラップで極端に速度を落として燃料を節約している。それだけ燃料の搭載量がギリギリなのだ。
しかし今回の日本GPは雨が周期的に降っては止む微妙なコンディション。サイティングラップは路面コンディションを知る貴重な機会だった。ゆえにバニャイヤはサイティングラップをそれなりの速度で走り、感触を確かめたのだ。
「意図的にやったことなんだ」と、バニャイヤは説明した。
「エコ・ラップ、つまりマシンの速度を落として燃料消費を抑えるインストレーション・ラップを行なわなかったからだ。それは秘密でもなんでもなく、誰もがやっていることだ」
「レースをスタートしたとき、(燃料を節約するため)パフォーマンスを下げるマップを作動させなければならなかった。それがレースをフィニッシュする唯一の道だったんだ。それでも、チェッカー後の10コーナーで燃料切れになった」
「それが制限される要素になったけど、スタート前のコンディションを把握するためには重要だったし、正しい選択だった」
こうした判断の裏には、彼が週末最初の走行から自信を感じていたことが一因にあるだろう。バニャイヤも「すべてが上手くいった。週末の最初からフィーリングが良かったんだ」と話した。
「結局、すべてがうまくいって、競争力を高めることができた。ペドロはすごくハードに走っていたけど、フロントタイヤを冷やすために1周ペースを落とそうと思ったときに転倒してしまった。どうなっていたかわからないが、とにかく彼はとても速かった」
アコスタについて、その速さを認めたバニャイヤだったが、重要なのはタイトル争いのライバルであるホルヘ・マルティン(プラマック)より前でフィニッシュすることだった。
「2位ですでに十分だったんだ。重要なのはホルヘより前にいることだった。それ以外については、すべてに満足しているよ」
アコスタが転倒した時点で、バニャイヤの勝利は決まったかと思われたが、エネア・バスティアニーニ(ドゥカティ)とマルク・マルケス(グレシーニ)が2位争いをしながらバニャイヤに急接近。ファイナルラップでは3台がひとかたまりになったのだ。
しかし、こうした状況もバニャイヤの計算の内だったという。
「コントロールは出来ていた。ファイナルラップに入った時にはエネアに1.3秒の差をつけていた。だから自分に『1周1秒ペースを落としても、彼らは僕を捕まえられないだろう』と言い聞かせた。だから雨が降り始めたのを確認して、ペースを落としたんだ」
「今日はリスクを冒す日じゃない。たとえラスト2周で誰かが転倒したとしても、とにかく自分が勝ってポイントを獲得することが重要だ」
「僕達の仕事には満足している。明日はまた違った展開になると思うが、今の仕事を続けなければならない。土曜日にとても良い進歩を遂げたので、日曜日もいつも通りにやる必要がある」