『スーパーマリオブラザーズ2』を遊んだ令和生まれの子供が泣いちゃった!? あまりにも理不尽でスーパープレイヤー向け過ぎるゲームを、今改めて振り返ります。



『スーパーマリオブラザーズ2』をプレイしている我が子。『ゲーム&ウオッチ スーパーマリオブラザーズ』では、初代と2の両方をプレイできるのだが、それが仇になってしまった。(筆者撮影)

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マリオなのにゲキムズ過ぎ

「子持ちゲーマー」である筆者は、「いつ自分の子供がゲームを遊びはじめるのかな」と楽しみに待っていました。そんな我が子も4歳くらいになり、親の影響を受けて当然のようにゲームを遊びたがるようになったのです。

 果たしてどんなゲームを選ぶのかと思いきや、なんと子供が手にとったのは初代『スーパーマリオブラザーズ』。令和生まれのキッズなのに渋いところをついているような、あるいはレトロゲームだとしても現代に通じる魅力があるのかもしれません。

 当然ながら我が子はまだ幼いので、操作はかなりおぼつきませんでした。しかし一緒に遊びつつ教えてあげると、最初のクリボーを踏めるようになり、キノコを取れるようになり、土管に入れるようになり……。ついには1-1をひとりでクリアできるようになったのです。

 楽しくマリオを遊べるようになり、ゲーマーとしても親としても嬉しく思っていたところ、いつも通りマリオを遊んでいた子供が急に叫びだしたのです。

「パパたすけて!」

 いったい何事かと話を聞いてみると、「キノコをとったらマリオがしんだ」そうで、それが悔しくて泣いてしまい、助けを求めたそう。

 博識な読者の皆さんであればすでにお気付きでしょう。そう、我が子はその日、初代『スーパーマリオブラザーズ』ではなく『スーパーマリオブラザーズ2』を間違えてプレイしていたのです。

 子供に泣きつかれたのであれば仕方あるまい。親としてこの『スーパーマリオブラザーズ2』を攻略してリベンジしてやろう……! というのは迂闊(うかつ)だったかもしれません。何せこのゲーム、レトロゲームだということを考慮したとしても、とにかく難しいからです。



『スーパーマリオブラザーズ2』のパッケージ画像。左上の黄金のシールをよく見てみると……。画像は任天堂公式サイトより。

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どうして?『スーパーマリオブラザーズ2』がゲキムズな理由

『スーパーマリオブラザーズ2』は、1986年にファミリーコンピュータのディスクシステムで発売されたアクションゲームです。その後、『スーパーマリオコレクション』などに移植され、現在ではNintendo Switchでもプレイできます。

 本作最大の特徴は、何といってもゲキムズなところ。基本は初代『スーパーマリオブラザーズ』と同じような2Dアクションなのですが、とにかくステージデザインが厄介で難しいのです。

 本作にはいじわるな仕掛けがたっぷり用意されています。まずは「毒キノコ」。これは取得するとダメージを受けてしまう(マリオが初期状態のときはミスになる)アイテムで、かなり嫌がらせに近い存在です。

 我が子は「キノコといえばマリオのパワーアップ」と考えていたわけで、まんまとこの毒キノコのワナに引っかかりました。普通のキノコと色が違うだけなのも分かりづらいです(なお、『スーパーマリオコレクション』版では、きちんと分かるように柄が変わっています)。

『スーパーマリオブラザーズ2』の卑劣なワナといえば、やはり「逆ワープ」は外せないでしょう。通常のワープゾーンは先のワールドに進めるわけですが、これは逆に前のワールドに戻ってしまいます。頑張って進んだのに、プレイヤーのやる気を奪うひどいトラップです。

 3-1には1-1に戻ってしまう逆ワープがあるのですが、土管の横には「自決用」の穴までしっかりと用意されています。戻るか、あるいはあえて穴に飛び込んでそのコースをやり直すか。プレイヤーにつら過ぎる決断を迫ってくるのも『スーパーマリオブラザーズ2』の厳しいところです。

 そして、マリオたちが画面外に飛んでしまう「スーパージャンプ台」もかなり思い切った仕掛けです。この緑色のジャンプ台は本当に高く飛べるので穴を避けることはできるものの、逆に落下地点が読みづらく難易度が跳ね上がります。

 スーパージャンプ台と一緒に「風」が吹いてくるとさらに大変です。追い風はマリオを吹き飛ばしてしまうので落下地点がズレやすくなりますし、操作の微調整も難しくなります。

 そもそも「要求される操作難易度が高い」「1-1で無限1UPできるけどその分やられることが前提になっている」「正しい道順を選ばないといけないループ面がパワーアップしている」など、高難易度というより悪意がたっぷりなゲームになっています。

 おまけにこのゲーム、何度もクリアして解放される裏ワールドも用意されています。初代『スーパーマリオブラザーズ』でさえいま遊ぶとなかなか難しいのに、その難しさを何十倍にも煮詰めたような内容で、現在の任天堂では考えられないようなゲームになっているのでした。

 実際に子供に代わってプレイしてみると、最初の無限1UPで何度かミスし、残機を増やせてようやく先に進めたものの、時間がかかり過ぎたせいで子供はすっかり飽きてほかのおもちゃで遊んでいました……。

 レトロなアクションゲームは難しくなりやすい、というのもそうなのですが、そもそも『スーパーマリオブラザーズ2』に関しては、パッケージに「FOR SUPER PLAYER’S」と書かれているように、本当にスーパープレイヤー向けのゲームだったのでした。

 令和生まれの幼い子供が泣くのも無理はありません。いつか泣かずにクリアできるようになってくれるとうれしいですが、果たして。